バングラデシュの障害者たちに正当な権利を
法律が整備されても実態が伴わない状況に地元紙が警鐘

  • 2021/3/6

 開発途上国に限らず、どのような社会でも障害のある人々への差別や偏見は存在する。さらにコロナ禍においては、その課題解決が先送りされる場合もある。2月12日付けのバングラデシュの英字紙デイリースターは、社説で障害者の権利について論じた。

バングラデシュでは障害者の登録システムに問題が指摘されている (c) Kelly Lacy / Pexels

障害者登録を妨げるもの

 バングラデシュでは2013年に障害者権利・保護法が制定された。社説は、「それから7年も経つのに、バングラデシュが他の国々と比べて今なお障害者の権利確立に遅れをとっていることは残念なことだ」と、嘆く。
 主な理由として、社説は、バングラデシュにおける障害者の実態と状況を把握するために必要なデータをまだ把握できていないことを挙げる。法律であれ、政策であれ、初期の段階で対象コミュニティの全体像を把握することは極めて重要なことであるにも関わらず、この国では手続きやシステムの問題から、障害のある人々の「全体像」が数値として把握されていないのだ。
 「ある専門家によれば、政府が行った障害者の調査は実情を正確に反映したものではないという。バングラデシュでは、法律上、障害のある人々は優先的に政府のサービスを受けられる権利があるにもかかわらず、障害者として登録されていないためにこうした権利をはく奪されているのだ」
 さらに社説は、障害者の登録手続きに多くの課題がある、と指摘する。
 「今は障害者が自ら役所に行き、必要な手続きをしなければ登録できないため、自由に移動できなかったり、その手段がなかったりする多くの障害者にとってハードルになっている。また、障害の認定に際しても困難がつきまとう。障害の種類や内容を認定する医師やソーシャルワーカーが十分に訓練されていないため、どのような障害か正しく判定できない場合があるのだ。身体にあらわれる障害は比較的認識されやすいが、精神的、神経面の障害については見極めが難しいため、多くの人々が障害者と認定されない状況に置かれている」
 
不正の改善を

 さらに社説は、「公的支援の受給に際して不正が行われ、障害者が不利益を被ることもある」として、不正の存在も指摘する。
 「本来、障害者として登録カードを受給されるべき人たちが受けられず、政治的コネクションによって不正に入手した人たちの手に渡り、公的支援の不正受給が行われているとの報道もある」
 その上で、障害者の置かれている状況に強い危機感を示し、登録システムの早急な改善を訴える。
 「障害のある人々がつつがなく登録できるシステムを再構築すべきだ。まず、障害の有無の判定は、専門的な知識のある医師や看護師が行うべきだ。さらに、不正に障害者カードを入手できる状態をなくし、本当に必要な人たちが入手できるように改善した上で、今年10月に実施される人口センサスで障害者の正確なデータを収集しなければならない」「これらが確実に実行されれば、バングラデシュ社会は障害者にとって非常に住みやすい環境になるだろう。彼らは今、政府の支援や保護を受けられない上、偏見にも苦しめられているのだから」
 かつて、バングラデシュで障害のある子どもたちの学級を訪ねた際、どの子も先生や友達に会える喜びに満面の笑みを浮かべていた姿が印象的だった。しかし、学校へ行くことができない子どもたちも多いと聞いた。障害のあるすべての子どもたちが、あの笑顔になる権利を持っている。バングラデシュに限らず、どの国でも、障害者政策が後回しにされず、少しでも前進することを祈りたい。

 

(原文: https://www.thedailystar.net/editorial/news/proper-data-needed-ensuring-disability-rights-2043353)

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