ガザ爆撃止まず 停戦に向け役割を模索するアジア
終わらぬ惨状に募る憤り「パレスチナ人は慈悲を受けるに値しないのか?」

  • 2023/12/29

 一時停戦により、一部の人質解放は実現したものの、いまだ和平への糸口が見えないイスラエルとハマスの衝突。終わらない惨状に世界は憤り、嘆きながらも、自国にできることを模索し続けている。

(2023年10月17日 ガザで撮影)(c) Saleh Najm and Anas Sharif / Wikimedia Commons

力の差があらわになった停戦交渉

 バングラデシュの英字紙デイリースターは、11月24日付の社説で「ガザの流血は世界の恥である」と題し、1万4000人以上が命を奪われてもなお事態を改善できない国際社会に対して怒りをあらわにした。

 「パレスチナ人は、イスラエルの猛攻撃によって苦しみ続けている。彼らは慈悲を受けるに値しないのか」と、社説は厳しく問いかける。11月末の一時停戦により、人道援助の再開が可能になったことに一定の評価をしつつも、「イスラエル当局は、ハマスが人質を10人解放するごとに停戦を一日延長すると発表した。だが、数千人いるパレスチナ人捕虜がどれだけ解放されるかについては言及しなかった。占領者と被占領者の力の差がはっきりと表れている」と指摘。「ガザの人々にとって、平和への道のりは依然として遠い」と述べた。

 イスラム教を国教とし、人口の85%がイスラム教徒であるバングラデシュだが、単に宗教的な側面だけでなく、人道的な側面からも、パレスチナの人々への支援の必要性を訴える。「とにかく停戦が必要だ。『文明世界』の指導者たちがそれを保証できるまで、あとどのぐらいかかるのだろうか」

「米国は同盟国イスラエルを説得せよ」

 一方、インドの英字メディアのタイムズオブインディアは、11月23日付の社説で事態の打開における米国の役割と責任を指摘した。

 社説は、アラブ首長国連邦とイスラエルの国交を正常化したアブラハム合意、イランとサウジアラビアの関係改善など、これまで各国の仲介により中東地域でさまざまな「関係改善」が実現したと振り返る。しかしその影で、弱体化したシリアやレバノンなど一部の国家では、イスラム国やヒズボラなどの「非国家主体」が活発化する余地が生まれたと指摘する。さらに社説は、ハマスによるテロ攻撃に端を発する現在のガザ情勢のように、「非国家主体」が紛争を拡大させるリスクがより高まっていると指摘し、停戦が不可欠だと訴える。

 11月24日からの停戦はカタールが仲介し、米国とエジプトが支援をした。社説は、「カタールは停戦に重要な役割を果たしており、平和につながることが期待される。ここで大切なのは、米国の役割だ。米国はイスラエルにとって最も重要な同盟国だが、ガザへの対応についてはイスラエルと意見が異なる。この停戦中に、米国は解決策に取り組まなければならない」との考察を示した。戦闘継続の意思を固めているイスラエルを米国が説得できるかどうかが事態の打開を左右する、との見方だ。(編集部注:停戦は2度にわたり延長され7日間続いたが、戦闘休止のさらなる延長には至らず12月1日朝、戦闘が再開した)

グローバルサウスの大国インドネシアが考える停戦に向けた役割

 インドネシアの英字紙ジャカルタポストも、11月17日付の社説「ジョコウィの平和のメッセージ」で米国の役割を強く指摘している。

 インドネシアのジョコ大統領(愛称ジョコウィ)は、ASEAN議長国の首長として、またイスラム諸国機構の代表として11月13日、米国のバイデン大統領と会談した。ジョコ大統領は、「インドネシアは米国に対し、ガザでの残虐行為を阻止するためにさらなる努力を求める。人類のために停戦は必須だ」と述べたという。社説は「ジョコウィは中東の平和を願う全世界を代表して発言したといっても過言ではない」として、これを称賛した。

 さらに社説は、インドネシアのリーダーシップにも期待を寄せる。例として挙げたのは、2022年のG20だ。社説は「ウクライナだけでなく、西側諸国が敵視するロシアの代表も首脳会議に招待した。首脳同士の対面での同席はかなわなかったものの、その指導力は一定の評価を得た」と振り返る。そのうえで「この時に築いた国際社会からの信頼をもとに、インドネシアは中東危機においても重要な役割を果たすことができる」との見方を示す。

 もっともインドネシアはイスラエルとの間に外交関係がなく、一貫してパレスチナ側に立っているため、実質的に仲介することは難しい。それでも社説は、「グローバルサウス、あるいはイスラム国家の中心的存在として、米国に強く働きかけることは可能だ」と述べる。今回のジョコ大統領の行動についても、「政治家としての勇気と資質に、ブラボーと言うべきだ」と、高く評価している。

 

(原文)

バングラデシュ:

https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/bleeding-gaza-puts-the-world-shame-3477501

インドネシア:

https://www.thejakartapost.com/opinion/2023/11/17/jokowis-peace-message.html

インド:

https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/a-piece-of-peace-the-pause-in-gaza-is-a-start-key-stakeholders-like-us-need-to-ensure-it-leads-to-durable-solution/

 

 

 

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