デジタル・バングラデシュ(第2話)
テクノロジーが描く水から始まる創世記、その筆下ろし

  • 2019/10/15

ICTで「水」問題の解決なるか

 水資源を巡る問題を解決するには、①災害をもたらす水にどう対処していくか、②限りある水資源をいかに適切に利用していくか、③水資源環境をいかに持続可能な形で守っていくか、という3つの視点がある。バングラデシュのICT領域で取り組まれているのは、目下のところ、②と③が多い。①も優先度は高いが、莫大な費用が必要で対処ができていないのが現状であった。デルタ・プラン2100が適切に遂行されていくことで、①の取り組みも活発になると期待したい。

 2009年に誕生したハシナ・アワミ連盟政権は、独立50周年にあたる2021年までに中所得国になることを目指す 『ビジョン2021』 を掲げ、全国のIT化を目指す 「デジタル・バングラデシュ」政策を打ち出した。その一環として首相官邸が主導で推進しているのが、「Access to information in Bangladesh(a2i)プログラム」である。国連開発計画(UNDP)と米国国際開発調(USAID)がサポートしており、昨年2018年までに16ものデジタルサービスやプラットフォームが提供されてきた。

出典:ENVIRONMENT Challenge (http://www.challenge.gov.bd/environment)

 その中で、バングラデシュ環境省と立ち上げたのが、工場排水による河川の汚染具合を確認するための「排水処理プラント モニタリングシステム」と、「河川遠隔モニタリングシステム」という、2つの環境課題解決型チャレンジ・ファンドだ。バングラデシュは、輸出全体の84%を繊維・皮産業が占めており(2018年時点)、その工場排水と河川の汚染が深刻化している。政府は、工場に排水処理設備の導入を義務化したが、導入には数億円に上る建設費と運営費がかかる上、広大な敷地も必要であるため、なかなか進んでいないのが現状だ。

 こうした状況を踏まえ、2015年からは進排水処理設備を持たない工場に、販売する製品価格1%を課税する「環境税」を課しているが、改善への道のりは険しい。

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