インドの社説が米国のアフガニスタン政策を歓迎

  • 2021/4/26

 米国のバイデン大統領は3月初旬、米国のアフガニスタン和平に対する姿勢を明らかにした。3月30日付のインドの英字紙、タイムズオブインディアは社説でこの問題を採り上げた。

タリバン勢力も含む暫定政権に

 アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが、和平に向けて米国政府と合意を結んだのは2020年3月のことだ。米国はこの合意に基づき、アフガニスタンの駐留米軍の撤退を進めているが、現地での政情不安は続いており、バイデン新政権の姿勢が注目されていた。
 バイデン米大統領は、トランプ前政権下で結ばれた合意について、「合意内容が守られているか検証する」としていたが、3月上旬、新たな方針を明らかにした。インドやロシアを含む多国間協議によって反政府武装勢力タリバンを含めた暫定政権を成立させ、新しい憲法をつくるというものだ。
 これを受け、社説は「インド政府が正式にアフガン和平に関与する好機だ」と、期待を寄せ、次のように述べる。
 「インドのジャイシャンカル外相がこのほど、アフガニスタン情勢をめぐるハートオブアジア会議に出席したことで、インド政府がアフガニスタンに早急に関与しなければならないとの機運が生まれた。そのきっかけとなったのが、米国のバイデン大統領が打ち出したアフガニスタン政策だ。まず注目されるのは、ブリンケン米国防相がアフガニスタンのガニ大統領へあてた書簡の中で、国連主導でインド、ロシア、中国、パキスタン、イランが参加する多国間協議を開き、暫定政権の樹立に向けて各国が歩調を合わせて話し合うことを提案したことだ。さらに、その暫定政権にはタリバン勢力も包含し、新しいアフガニスタン憲法を起草しようと提言していることも注目される」

アフガニスタン・カブールの丘 (c) Suliman Sallehi / Pexels

パキスタンへのけん制

 このバイデン政権の提案に対し、社説は「これまで外野に置かれていたインド政府がアフガニスタンの和平プロセスに正式に関わり、重要な役割を果たすことが期待されている」と、歓迎する。
 他方、この和平プロセスの道のりは決して平たんではないとの見通しも示す。
 「提案によれば、アフガニスタンの未来の体制にはタリバンが関与することは明白だ。これはつまり、穏健派のイスラム勢力にアプローチし、協力を求める必要があるということだ。穏健派の協力を得ることは、タリバン自身にとっても必要なことだ」
 同時に、インドにとって、アフガニスタン政策の行方は、両国の間に位置するパキスタンとの関係をも左右する。
 2月25日、インドとパキスタン両国軍は共同声明を発表し、両国が領有権を争うカシミール地方において停戦順守に合意した。両国は2003年、カシミール地方の管理ラインを境界とする停戦で合意していたものの、武力衝突はやまず、停戦違反が増えていた。
 社説は、パキスタンとの停戦合意が打ち出されたタイミングでアフガニスタン和平プロセスに公式に参加することを、「インド政府にとってチャンスだ」と表現する。
 「アフガニスタンの和平に貢献し、アフガニスタン国内におけるインドの利権を守ると同時に、パキスタンに対し、アフガニスタンをインドへの対抗力として利用させないようけん制できる。パキスタンが過去数十年にわたりアフガニスタンで育ててきたテロ工場を撃退するためにも、アフガニスタンの安全と平和は重要だ」
 アフガニスタンの和平プロセスに関連する周辺国が参加すれば、それはすなわち、長い間実現できなかった地域全体の安定につながる。しかし一方で、どこか一部でもほつれが生じれば、多国間協議はたちまち崩壊し、アフガニスタン一国の和平すら実現できなくなる。バイデン新政権がどこまでリーダーシップを発揮できるのか、注目だ。

 

(原文:https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/heart-of-asia-india-gets-a-seat-in-afghan-peace-process-it-must-reach-out-to-moderate-taliban-factions/)

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