インドに絵本を売り込んだ二人の男
カウンターパートとの奮闘「500 日」

  • 2019/9/12

入稿作業は大晦日に突入

 2017年11月中旬、ようやく契約が成立した。チャウドリー編集長との面会から1年3カ月、企画を構想してから実に3年が経っていた。苦労の甲斐あって、絵本「もったいないばあさん」を含むシリーズ3冊をヒンディー語と英語のバイリンガルで翻訳し、出版するという内容だった。インドの他の12言語でも出版することも盛り込まれた。

「世界環境デー」の前日にデリーメトロの車両を借り切って、絵本の読み聞かせイベントを実施した。2018年6月4日撮影。(写真提供:講談社)

デリーメトロ車内でのイベントの様子は、インド最大のヒンディー語新聞「ダイニク・ジャグラン」でも紹介された。(写真提供:講談社)

 しかし、喜ぶ余裕はなかった。この時点で、絵本をお披露目する「出版記念式典」まで残り2カ月を切っていたのだ。レイアウトもヒンディー語訳も完成していない。デザイン確認のため、著者を含め日本側が監修する必要もある。しかも、年末年始は仕事にならない。

 ところが、日本側の都合はインド側に通用せず、結局、入稿作業は大晦日に突入。われわれは、除夜の鐘を聞きながらインド側とスカイプでレイアウトやテキスト等を確認することになった。日印の間に入り監修作業をサポートしてくれたパンダ氏は、入院中の父親のベッド脇で作業してくれた。その夜、テレビにはNHKの「ゆく年くる年」が映し出され、パソコンには病室で原稿に目を通すパンダ氏の姿が映っていた。

ページ:
1 2 3

4

5

関連記事

 

ランキング

  1.  2026年8月、ネパール中部を大規模な土石流が襲いました。ヒマラヤでは気候変動に伴う氷河の融解…
  2.  2026年8月26日、中国とネパールの国境地帯を大規模な氷河土石流が襲いました。気候変動による…
  3.  第2次トランプ政権の発足後、アメリカは国際開発庁(USAID)を廃止し、対外援助を大幅に削減し…
  4.  ミャンマー西部ラカイン州に多く暮らす少数派イスラム教徒ロヒンギャ。長年にわたり市民権を認められ…

ピックアップ記事

  1.  2017年8月25日、ミャンマー西部ラカイン州でロヒンギャの武装勢力が国境警察施設を襲撃したことを…
  2.  2016年7月1日にバングラデシュの首都ダッカで発生したホーリー・アーティザン・ベーカリー襲撃テロ…
  3.  2016年7月1日夜、バングラデシュの首都ダッカで、日本人7人を含む多くの命が奪われたホーリー…
  4.   ミャンマーの街角や人々の暮らしを伝える「Yangonかるた」と、その発想に触発されて誕生した…
  5.  30年前、内戦直後のカンボジアで、戦火をくぐり抜けて残った数本の在来種の胡椒の木を大切に育てる老農…
ページ上部へ戻る