インドに絵本を売り込んだ二人の男
カウンターパートとの奮闘「500 日」

  • 2019/9/12

絵本で子どもたちの環境意識を変える  

 インドで日本の環境教育の絵本が出版された背景には、インドの社会情勢がある。経済成長を遂げるインドでは、ゴミの不法投棄や屋外排泄などが大きな社会問題と化している。インド政府はその対策のために2014年10月、「クリーン・インディア」キャンペーンを立ち上げ、5年間で2兆ルピーを投じることを発表。ゴミ箱やトイレの設置など、大々的なインフラ整備を行った。

移動図書館を活用し、講談社とIJKの共同主催で絵本の読み聞かせキャラバンを実施した。伊藤忠商事とマルチ・スズキ社(スズキのインド子会社)は、活動の主旨に賛同して協賛している。2018年は、3,000人の子どもたちに読み聞かせを行った。

 しかしインドの環境汚染は深刻で、適切な衛生環境を保つためには、インフラだけでなく人々の意識改革が必要不可欠だ。そこで思いついたのが、今回の「絵本プロジェクト」。子どもたちの環境教育のために日本の絵本をインドで出版し、企業のCSR(社会的責任)のための予算を活用してモバイルライブラリー(移動図書館)を走らせ、読み聞かせを通じて啓発活動を行う計画だ。

 2015年8月、この「絵本プロジェクト」をJICA(国際協力機構)が公募する協力準備調査(BOPビジネス連携促進)(当時:現・途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査)に提案。2016年1月に採択され、同年8月下旬から前述のパンダ氏との二人三脚の事業がスタートした。

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