インドネシアの伝統医薬品が起こす新たな風
1000年の歴史を誇る「ジャムウ」が日本に本格上陸
- 2021/8/31
日本人の悩みの軽減も期待
官民を挙げた取り組みの甲斐あって、いまやジャムウは前出のシドムンチュル社のようなメーカーの商品をはじめ、エステビジネスやジャムウモダンによる新規事業まで、さまざまな形でインドネシアから世界約20カ国へと輸出されている。
こうした機運は日本にも上陸し、インドネシアでジャムウの作り方を学んで帰国した人々が、手作りの商品を販売する店を各地に立ち上げるなど、ジャムウの認知度が少しずつ高まりつつある。筆者も今年2月、前出紹介したジャムウの中でも一番の定番である「ウコン&タマリンド」をシドムンチュル社から輸入し、日本ブランドとしてECサイト上での販売を開始した。これまでも個人的に現地から輸入し、販売している事例は見られたが、筆者は、日本でジャムウを本格的に普及するためにも、税関を通じて厚生労働省に書類を提出し、日本の食品検査の基準を満たして正規に販売することが重要だと考えたのだ。
インドネシアでは、ジャムウは薬のように日常的に服用されている。種類は豊富で、前述の「ウコン&タマリンド」以外にも、「プガルリヌウ」と呼ばれる複数のウコン類や黒コショウを使ったリウマチ用ジャムウ、産前産後に飲む豊富な妊娠用ジャムウなど、多くの日本人が抱えている悩みの軽減にも効果が期待されるものも多い。医薬成分が入っておらず、無添加で身体に優しいという点も、市販薬の過剰摂取や国の医療費削減、高齢化による健康寿命といった課題を抱える日本人に喜ばれ、重宝されるはずだ。今後、臨床試験の結果を基に、日本でも第三者認証などのエビデンスが取得できれば、ジャムウが広く普及すると期待される。実際、少し前には台湾発祥のタピオカドリンクが日本社会で一大ブームを巻き起こした事例もある。今後、ジャムウが日本の若者世代を中心に受け入れられて急に人気が出たり、ブームが生まれたりする可能性もある。
インドネシアから世界に広がったジャムウが、日本に上陸してどのような新たな動きを生み出すのか。これからの展開に、ぜひ注目してほしい。