スラムの映画館「ヴィダ」に集う人々
ケニアの低所得者層に憩いと居場所を提供する空間
- 2019/12/1
ベテラン経営者の語るヴィダ
今年で22歳になるベンソン・カランジャは、14歳の時からヴィダのオーナーを務めてきたベテラン経営者だ。友人が奨学金を得てドバイに留学することになった際、ヴィダを譲り受けたのがきっかけだったと振り返る。
カランジャは、 「テレビで流す内容は、平日が映画、週末がサッカーの試合と相場が決まっているよ。ただ、チャンピオンズリーグ(欧州ナンバーワンのサッカーチームを決定する大会)の試合がある時だけは話が別で、曜日に関わらず客がわんさか押し寄せるのさ」と、いたずらっぽく笑った上で、次のように話す。
「8年もこの仕事をやっていると、ヴィダが俺たちのコミュニティーに不可欠な場所だと痛感するよ。マザレではテレビもDVDも持っていない住民が少なくないんだ。盗まれたり襲われたりして危ない時もあるからな」
「ヴィダには、住民を犯罪やドラッグから守り、コミュニティーを一つにまとめる力があると思っているよ。映画はスワヒリ語に翻訳されてるから、誰にでも内容が分かるしな」
「うちも、サッカーの試合がある時には一人30シリング払ってもらっているよ。一日の売り上げは、平日が600~800シリング、サッカーの試合がある日は1,700シリングくらいかな。これは良い商売だから、新しくヴィダを増やしたいと思っているところさ」