ミャンマーの地元メディアが軍の要求を拒否
免許剥奪の脅しに屈さず「あくまでクーデター」と主張
- 2021/3/21
2月1日にクーデターを起こしたミャンマー国軍が、国内で活動するジャーナリストや報道機関への圧力を強めている。2月13日には、報道機関に対して「クーデター」という言葉の使用を禁止。従わなければ報道免許を取り上げると通達した。こうした国軍側の圧力にいち早く社説で抗議の声をあげたのが、雑誌やテレビなどの複合メディア、ミッジーマだ。その後もクーデターに批判的な報道を続けたミッジーマは、3月8日に報道免許を剥奪され、家宅捜索を受けている。
ここでは、免許を剥奪される以前の2月23日にミッジーマがオンラインに掲載した抗議の社説を紹介する。
2月23日にオンライン版で発表されたミッジーマの社説は、「国軍司令官ミンアウンライン様」という、国軍トップで今回実権を握ったクーデター首謀者への呼びかけで始まる。
国軍側がクーデターという言葉を使わないことを求め、使えば報道機関の免許を取り上げると通達してきたことについて、社説は、歴史を振り返りながら「明らかな弾圧だ」と指摘。さらに、各地で行われているデモで「軍のクーデター」というプラカードが掲げられていることを挙げ、「真実を隠してはいけない」と訴えた。
そのうえで、「自由で公正なメディアとは、決してプロパガンダであってはならない。国軍系テレビのミャワディや、軍が実権を握った国営放送のMRTVばかり見ていては、真実が見えない」と主張している。また、国軍側が今回の政変を「合法的な措置」だと主張していることについては、「とても認めることはできない。それは法律を勉強したミンアウンライン司令官も分かっているはずだ」「もっとも、銃口で法律が作れると思っている人にとっては、話が別かもしれない」などと皮肉った。さらに、海外のマスコミもクーデターという言葉を使っていることに触れ、「報道免許を停止すると国軍側がちらつかせることは、まぎれもなく国内メディアの弾圧だ」と喝破している。
社説は最後に、クーデター政権という言葉の代わりに、「クーデター軍事政権」「軍事委員会」「クーデター団体」「軍事政権」などの言葉を使えば良いのか、と冗談交じりに宣言し、今後も国軍批判を続けるという姿勢を明確に打ち出した。
ミャンマーでは、3月下旬時点で40人近くのジャーナリストが逮捕されている。また、彼らが頼りにするインターネットも、携帯電話からの接続ができなくなるなど、制限が強まっている。こうした中でも、ミッジーマをはじめとしたマスコミとジャーナリストが真実を伝えようと奔走している。
(編集部注)
社説の原文(ビルマ語)はすでに削除されているが、ミッジーマの公式サイト(https://www.mizzima.com/)(英語)は3月21日時点で存在しており、更新も行われている。