ミャンマー人サッカー選手を難民認定
ピェリャンアウンさん「祖国へ戻れないかもしれないが後悔はしない」
- 2021/8/22
サッカーのミャンマー代表、ピェリャンアウン選手(27)が2021年8月20日、大阪出入国在留管理局で難民認定証明書の交付を受けた。ピェ選手は、ワールドカップ予選の試合のために5月に来日。5月28日に日本代表との試合の直前に三本の指を立てて祖国でクーデターを起こしたミャンマー軍への抗議の意思を表明した後、6月16日に関西空港で帰国便への搭乗を拒否し、難民申請を行っていた。
入管から出てきたピェ選手は、メディアの取材に答え、「今日、難民として正式に認定された。祖国にいる家族とはもう会えないかもしれないが、後悔はしていない」と話した。同選手はこの日、「定住者」として就労できる5年間の在留資格を得た。
さらに、三本指を立てたことについては、「自分がやったことは、ミャンマーで命をかけて軍への抵抗を続けているミャンマー人たちに比べれば、とても小さなことだ」とした上で、「これからも、日本でできる限り軍への抗議行動を続けていきたい」と決意を述べた。今後は、7月から練習生として参加している横浜スポーツ&カルチャークラブ(YSCC横浜)のフットサルチームでゴールキーパーとして契約を交わす予定で、練習に励む傍ら、日本語の勉強も始めているという。
ピェ選手が帰国すれば軍によって殺される恐れがあるとの懸念から日本に残るよう同選手に働きかけた支援者の一人で、在日ミャンマー人のアウンミャッウインさん(47)は、「今回の難民認定は、単にピェ選手を助けたことにとどまらず、ミャンマー軍に反対する人の命を日本政府が守ったということであり、日本政府としてもミャンマー軍への抗議の意思を尊重していることの表れだ」との見方を示した。
2月1日にミャンマーでクーデターが発生し、軍による市民への弾圧が続いていることから、日本政府は日本に在留中のミャンマー人に対して5月より在留資格が失効しても特例で最長1年間の滞在を認める措置を取っている。その一方で、日本の難民認定率は1%未満と、欧米諸国と比べて非常に低い水準にとどまっており今回、ピェリャンアウン選手が難民申請から2カ月足らずで認定を受けたことは極めて異例だ。
おりしも名古屋入管に収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが今年3月に亡くなった事件を機に入管をめぐる問題が日本国内で高い関心を集めている中、日本政府の今後の対応が注目される。