ネパールの路上生活者に適切な住環境を
シェルターに隠す「付け焼刃」の対策を地元英字紙が厳しく非難

  • 2019/11/5

 ネパールの首都カトマンズには、たくさんの「ホームレス」の人々がいる。ネパール政府はこの問題を解消しようと取り組んできたが、成果が上がっていない。ネパールの英字紙カトマンズ・ポストは、10月28日付の社説でこの問題を採り上げた。社説が指摘するように、冬が近づくこの時期、ホームレスの問題は、貧困対策ということに加えて人命にかかわる問題でもある。

ネパール政府は、首都カトマンズにいる多くの「ホームレス」の人々の問題を解消しようと取り組んできたが、成果が上がっていない (c) Laurentiu Morariu / Unsplash

中身のない政策

 社説によれば、カトマンズ当局は2年前、ネパール最大のヒンドゥ寺院であるパシュパティナートなど中心部や観光地にいた物乞いやホームレスの人々を、サマフシのシェルターに移住させた。カトマンズ市当局は、3,000万ネパール・ルピー(約2,900万円)の経費をかけてこの政策を実施した。しかし、「首都にはパシュパティ地区を含め、いまだたくさんの路上生活者がいる」のが実態だ。

 路上生活者の問題は、これまで何度も社会問題として指摘されてきたが、国の対策が成功したことはない。「政治家たちは誰もこの問題を真剣に考えようとしていないし、“物乞いのいないネパールを実現する”といった素晴らしい宣言もこれまで数々謳われてきたが、中身のある実施計画はなかったからだ」と、社説は厳しく指摘する。

ただ屋根があるだけでなく

 社説は、国連が路上生活者について「家がなく路上で暮らす人たちだけでなく、健康な暮らしをするために必要な住環境やシェルターのない人たちも含む」と定義していることを紹介した上で、次のように述べる。「ネパール政府が2年前にホームレスの人々をシェルターに移住させた時、移住先の状況についてのモニタリングは十分ではなかった」「15年間にわたって物乞いをしてきたある女性は、このシェルターで政府の役員を見たことは一度もない、と私たちの新聞に証言している」。

 さらに社説は「この国にホームレスがどれぐらいいるのか、推計を算出するために必要な調査データもない」と指摘し、「シェルターをつくるということは、単に屋根や壁があればいいのではなく、水道や衛生的なトイレも整備し、安全な暮らしを送れるようにしなければならない」と、主張する。物乞いや路上生活者たちを隠すようにしてシェルターに住まわせるといった「付け焼刃」の対策ではなく、根本的な解決策を講じるべきだ、というのだ。「まず、国内の路上生活者の実態を調べ上げ、その数や生活状況に応じて住宅政策を検討すべきだ。行き場所のない人々に、路上で暮らすことを強いるような国であってはならない」と、社説は訴えている。

(原文:https://kathmandupost.com/editorial/2019/10/28/the-street-is-their-home)

 

 

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