chúc mừng năm mới (謹賀新年)  人も経済も動くベトナムの旧正月
唯一にして、最大のイベントをどのように迎えるか

  • 2020/1/27

ラッキーマネーは外国人泣かせ?

 「お年玉」(Li Xi)の習慣があるのも、日本と同じだ。しかし、あげる対象は日本に比べてずっと広い。

 まず、親戚や友達関係の間では、大人も子どもも関係なく、お互いにあげ合う。この場合、人数が多いため、中身はせいぜい50円、多くても500円程度。紙幣の色が赤い5万ベトナムドン札(約250円)は、特に喜ばれるらしい。

1月下旬、中部クアンガイ省で9つの郡の貧困家庭向けに行われたコメの寄贈式の様子を伝える「tai chinh vietnam紙 ウェブ版」の記事 (http://thoibaotaichinhvietnam.vn/pages/thoi-su/2020-01-20/ho-tro-gan-6500-tan-gao-cho-hon-430-nghin-nguoi-dan-don-tet-81776.aspx)

 一方、血縁関係にない知人や会社の同僚にもお年玉をあげる点は、ユニークだ。特に、雇用主が社員にあげる場合、金額は跳ね上がり、1カ月分に相当する額を旧正月前に支給するのが通例となっている。旧正月のお年玉が「13カ月目の給料」と呼ばれる所以だ。個人的に雇っているメイドや運転手にも、当然、渡す。筆者は以前、ごみ収集の女性が毎月の収集料を徴収しに来た際、お年玉を要求されてあっけにとられたことがある。これはレアケースかもしれないが、いずれにせよ、「渡して(渡されて)当然」という雰囲気があることは否めない。金額に幅がある上、渡すべき相手の範囲も曖昧であるため、在住間もない外国人たちがSNSコミュニティにこのLi Xiについて質問を投げかけるのも、恒例となっている。

多様化する正月の姿

 近年、こうした正月の準備風景や過ごし方が変わり始めている。

 例えば、新しい年を迎えるために新調する服。以前は、街の仕立て屋に持ち込み、オーダーメイドでつくっていたが、最近は、都市部を中心にファストファッションや大型スーパーなどが増え、手軽で安価に買い求める人が増えている。仕立てに必要な生地を買い求めたり、採寸してもらったりする手間は省けるが、少し寂しい気もする。

普段は洋服一辺倒の若者たちも、テトの時期は民族衣装を身にまとい、撮影会に興じる(筆者撮影)

 飲酒運転の取り締まりも厳格化された。大きな声では言えないが、これまでベトナムでは、バレない範囲で飲酒運転がはびこっていたのが実状だった。しかし、今年1月より、微量のアルコールであっても、検知されれば即、罰則化となった。年末年始は飲酒の機会も増え、乗る側も、取り締まる側も、注意を払っていると思われるが、喉元過ぎればどうなるか、今後、注視していきたい。

 さらに、地元に帰って家族や友人と過ごすのが定番だった正月休みの時期に、海外旅行に出かける世代も増えている。またとない大型連休。ライフスタイルの変化によって、かつての伝統的な正月の過ごし方が多様化していくのも、発展とは切っても切り離せない事象なのかもしれない。

 

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