アフガニスタンを反政府勢力タリバンが制圧
ネパールの英字紙はカブール陥落をどう報じたか

  • 2021/8/24

 アフガニスタンで反政府勢力タリバンが実権を握ったことについて、ネパールの英字紙カトマンドゥポストは8月17日の社説で取り上げ、「米国とその同盟国の失敗」と評した。

アフガニスタンの首都カブールを制圧したタリバン兵士ら(2021年8月18日撮影)(c) AP/アフロ

西欧諸国の「不遜さ」も同時に陥落

 アフガニスタンの首都カブールを8月15日、反政府勢力タリバンが占拠した。その様子を社説はこのように表現した。「カブールが陥落した。そして、最新鋭の武器や大砲とともに降り立ったどんな場所にでも民主主義を押し付けることができると考える西欧諸国の不遜さも、同時に陥落した」
 また、20年前に米国とその同盟国がタリバンを放逐して打ち立てた政権が消滅したことについては、「世界同時多発テロから20年、米国は多くの答えるべき疑問を残して不名誉な<さようなら>をした。まず問われなければならないのは、この侵攻が果たして本当に意義のあるものだったのか、ということだ」
 米国のアフガニスタンへの関与について、社説は「数十億ドルを費やし、テロリストたちの隠れ家と思われる辺り一帯を無差別に絨毯攻撃し、終わらない戦争の中で数千もの治安要員、市民、敵対する兵士たち、援助ワーカーなどの命を奪った。彼らは平和を維持するためにそこにいたにもかかわらず、長期的な見通しがなさ過ぎたと言えるのではないか」と、強く批判する。
 「アフガニスタン再建に向けた20年にわたる取り組みの中で、米国政権は、地球上から消し去ろうとしたタリバンがカブールを占拠するまでどれぐらいかかるかということすら見通すことができなかった」
 タリバンがカブールの大統領府を占拠するまでにかかった時間は、「数年でもなく、数カ月でもなく、たった1週間」だった。社説は「米国や北大西洋条約機構(NATO)が訓練した治安部隊は、抗うこともなくただ降参するしかなかった」と、手厳しい。また、その後のカブールがどんな状態に陥ったか、世界のメディアやソーシャルメディアに広く出回った動画やの様子を、「多くの人々が首都を捨てた。外国人もアフガニスタン人もカブールの国際空港に集まり、外国に逃れる飛行機に乗ろうと必死になっていた」と、表現した。

打ち砕かれた「希望」

 社説は、「カブールを脱出できた幸運な人」として、ガニ大統領の名前を挙げた。
「ガニ大統領は、自分が国民を救うことができないこと明らかになるやいなや、自身が助かるために外国へ渡った。8月15日の夜までにタリバンがコーランを唱和する写真が大統領府で撮影され、16日には街で銃声が聞かれたという。空港は放置され、国際便はキャンセルされた」
 社説は、現状までに多くの流血の惨事が起きていないことは幸運だったと指摘する。そして今は、「見込みのない希望」にすがるしかない、という。それは、「タリバンが以前よりも良い方向に変わっている」という希望だ。
 社説は、カブールを制圧後にタリバンが初めて開いた記者会見で、報道官が「この国を去ろうとする人々に危害は加えない」と発言したことに、かすかな希望を見出している。アフガニスタンには、ネパールからの移民もいる。「彼らが他国政府の派遣する飛行機に何とか乗せてもらい帰国できることを願わずにはいられない。われわれの政府はアフガニスタンにネパール人が何人いるかすら正確に把握できず、彼らを救出する方策がまったく立てられずにいる」
 社説は、米国とその同盟国によるアフガニスタン政策を「失敗の物語だ」と断じる。タリバンが今後、どのような政策でアフガニスタンを支配するのか、まだ見えていない部分も多いものの、社説は「特に若い女性たちにとっては、希望が打ち砕かれることになるだろう」と、厳しい見方を示している。

 

(原文https://kathmandupost.com/editorial/2021/08/17/kabul-besieged)

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