スリランカの社説が感染再拡大に危機感
「これまでの取り組みを無駄にしてはならない」

  • 2021/12/1

 新型コロナのオミクロン株が世界各地で確認されるなど、再び感染拡大への懸念が高まっている。スリランカの英字紙デイリーニューズは11月頭の時点で強い危機感を示していた。

(c) Kanishka Ranasinghe / Pexels

新規感染者は増加傾向

 社説によると、スリランカの保健大臣は、多くの祝祭行事がある12月を前に、ショッピングモール、ホテルなどの施設での新型コロナ対策の強化を求めた。それについて社説は、「なぜ12月まで待つ必要があるのか。スリランカではすでに、感染者が増加し始めており、12月まで待てば事態は悪化するだろう」と、批判する。
 実際、11月初めの段階で、一日の新規感染者は600人を超えた。社説によれば、「11月1日に新型コロナ対策を緩和してその反動が起きている。恐ろしいことに、学校も徐々に新型コロナの影響を受けており、感染者の報告が上がってきている」という。新規感染者の増加傾向は11月末になってもゆるやかに続いており、1日あたり700人台になっている。
 この社説が書かれたころにはまだ「オミクロン株」という名称はついていなかったが、社説は、「専門家たちは、世界でまた新たな新型コロナの感染の波が起きており、現在の新型コロナ対策を強化する必要があるという。ワクチン接種をしていても、その効力は一定期間を過ぎれば落ちてしまうのだ」と、指摘した。

闘いは終わっていない

 さらに社説は、スリランカの人々の警戒心の低さを指摘する。「スリランカは新型コロナ対策の行動制限を全国で緩和したが、スリランカの人々が感染対策をきちんと守っているかどうかについては問題が多い。農業従事者や教員たちの抗議行動は感染対策なしに実施されているし、労働組合もゼネストを示唆している。新型コロナとの闘いはまだ終わっていないのだ」
 そのうえで、「最も重要なことは、新型コロナ対策を、祝祭シーズンを待たずに強化し、再びロックダウンを実施することのないように、そして壊滅的な結果を招くことのないようにすることだ」と、主張した。
 社説によれば、スリランカにおけるブースター接種は、まだ医療関係者に限られている。しかし、おそらくほぼ確実に、新たな感染の波がやってくる。
 「政府は、手後れになる前に、一丸となって行動しなくてはならない。すべての省庁は新型コロナ対策を指導に従う責務があり、従わない人たちには厳しい態度で臨むべきだ。従わない人たちについては、名前などを明らかにし、罰則を与えるべきだ。このようなことは、感染拡大の初期には実際に行われていた。休日の旅行も、宗教行事への参加も、制限なしに可能になった。国内はもう感染拡大などなかったかのようだ。1万4000人以上の死者を出しているのに」と、社説はいう。
 「オミクロン株」の出現により、私たちは再び感染拡大の恐怖と向き合うことになった。これからも何度か、このような揺り戻しを繰り返しながら、蓄積された経験と知識で「ウィズコロナ」を実現していくのだろう。社説のタイトルにある「これまでの取り組みを無駄にしない」ためにも、気を引き締めていかなければならない。

 

(原文:http://www.dailynews.lk/2021/11/09/editorial/264063/don%E2%80%99t-leave-it-too-late)

 

 

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