「命が危ない」アフガン人救出プロジェクトが始動
映画『ミッドナイト・トラベラー』の監督が流した涙
- 2021/10/15
つながった二つの世界
これをフェイスブックに投稿すると、嬉しい反応があった。「紛争・テロ・社会的な暴力」を防ぎ、乗り越え、共存できる社会の実現を目指して活動する(特活)Reach Alternatives(REALs)の理事長で、アフガニスタンで外交官として軍閥の武装解除に携わった経験のある瀬谷ルミ子さんをゲストに招いてオンラインイベントを開催した時、「フェイスブックを見ました。ファジリ監督が救出したい友人たちがいるのですね。監督につないでください。力になります」と、声をかけてもらったのだ。
この瞬間、あちら側の世界と、こちら側の世界が、パチンと音を立ててつながった。それは、過去を記録した一本のドキュメンタリー映画が、人命救出という使命を帯びた瞬間だったと言えるかもしれない。
ドイツにいるファジリ監督、日本にいる瀬谷さん。そしてアフガニスタンで救出を待つ人々。
「これは、単なる映画じゃない。人の命を救う映画なんだ」
すぐに、瀬谷さんとファジリ監督をつないだ。そして9月21日、ピースデーに合わせて東京タワーで特別イベントを主催した夜に、大きな展開があった。
イベント後に、瀬谷さんから届いていたメッセージを読んだ。
「関根さん、まだ詳しく言えませんが、ハッサンの関係者を含む退避の件、極秘で進めています。ハッサンとは、日に数十回以上、連絡を取り合っています」
「越えなければならない山が多く、気が抜けませんが、今、一番大きな山を奇跡的に動かせたところです」
「成功すれば、関根さんと私のつながりがなければ絶対に救えなかった人たちを助けることができます」
このメッセージを受け取って、何もしないという選択肢はない。筆者はその場にいた友人らとの会話を中断し、真剣に訴えた。
「たった今、アフガニスタン人の救出に向けて大きな進展がありました。今なら彼らの命を救うことができます。僕は決めました。合計1,000万円集めたい。100万円出します。できれば同額をお願いできませんか?」
こうして、ピースデーの夜に、その場で300万円の寄付が集まった。世界中が休戦と非暴力のために活動するピースデーに一人でも命を救えるなら、願ってもないことだ。
また、涙が出てきた。そして、こう誓った。
「何のために生きているのか。何のために映画をやっているのか。平和のためだ。今なら救える命があるなら、僕は全力でやろう」
その後、クラウドファンディングも立ち上がった。
今なら救える命があります。どうか、ご協力ください。
*緊急支援:アフガニスタンで命の危険に晒されている人々に退避と保護を
https://readyfor.jp/projects/reals211008
*『ミッドナイト・トラベラー』は全国順次公開中です。
https://unitedpeople.jp/midnight/
(※1) アフガン難民50万人想定、近隣諸国は国境開放維持を=UNHCR_Reuters
https://www.reuters.com/article/afghanistan-conflict-un-idJPKBN2FS1MF