弾圧から3年、絶望広がるロヒンギャの人々
バングラデシュの英字紙がミャンマー政府の対応を厳しく批判

  • 2020/9/2

 今も解決の糸口がみえない少数派イスラム教徒ロヒンギャを巡る問題。バングラデシュには、多くのロヒンギャの人々が迫害を逃れ、隣国ミャンマーから逃げ込んでいる。バングラデシュの英字紙デイリースターは、8月28日付の社説でこの問題をとりあげた。

ミャンマーから逃れてきたロヒンギャの人々の情報をバングラデシュ・コックスバザールのクトゥパロンに設置されたセンターでバングラデシュ軍関係者が登録する(2017年10月撮影)(c) ロイター/アフロ

72万人が避難

 3年前の2017年8月25日、ミャンマーでの激しい武力弾圧や迫害を受け、ラカイン州などから逃れた多くのロヒンギャの人々が、国境を越えてバングラデシュを目指した。国連などの統計では、その数はこれまでに約72万人に上ると言われている。

 これを踏まえ、社説が新たに指摘するのは、避難先の治安の悪化だ。

 「過去最大規模と言われるロヒンギャの人々の避難が始まって3年になる。彼らが避難してきたバングラデシュ・コックスバザールにあるキャンプでは、殺人、誘拐、脅迫、違法薬物などの犯罪が急増している」「2018年の1年間にロヒンギャの人々が暮らすキャンプで起きた犯罪は208件だった。この数は、2019年には263件に増え、今年は、1月から7月までの間にすでに178件に上っている。集計されている数は氷山の一角で、キャンプ内ではさらに多くの殺人や誘拐、性的暴行が報告されないまま発生している」

 社説は、ロヒンギャの人々がミャンマー当局から残酷な仕打ちを受け、追い出されて丸3年が経つにも関わらず、彼らが安全に母国に帰ることができる環境はまったく整っておらず、「その兆しも見えない」と、指摘する。さらに、「ミャンマー政府は、バングラデシュ政府と協力してロヒンギャの人々が帰国できるよう準備する“ふり”をしているが、その実、何もやっていない」として、ミャンマー当局を激しく非難する。

深まる絶望感

 さらに社説は、「問題はキャンプ内にとどまらず、バングラデシュの人々の暮らしも脅かしつつある」として、危機感をあらわにする。

 「厳しい現実と不安にさらされ、ロヒンギャの人々は日々、絶望感を深めている。キャンプでは違法薬物の取引が激増し、犯罪に手を染める者も増えている。その影響はキャンプの外にも広がり、コックスバザールに住む人々の不安も高まっており、一人ひとりの努力や、コミュニティーレベルの取り組みで解決できる問題ではない。終わりの見えない状況に耐えながら生活を続けるのは限界だ」

 その一方で、社説は「バングラデシュ政府は、限られた資源をロヒンギャの人々に分け与え、できる限りの対応を採っている」と、評価した上で、次のように警告する。

 「バングラデシュには、苦しめられている人々にこれ以上、分け与えるもがないことを国際社会は認識すべきだ。彼らを苦しめているのはミャンマー政府である。国際社会はミャンマー政府に責任をとらせ、ロヒンギャたちが安心して安全に故郷に帰ることができるよう環境を整えさせなければならない」

 「長引けば長引くほど犯罪は増え、ロヒンギャの人々の命が失われる」。彼らの受け入れ国の社説が発するメッセージに、耳を傾けなければならない。 

 

(原文: https://www.thedailystar.net/editorial/news/desperate-rohingyas-turning-crimes-1952077)

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