障害のある生徒の試験解答に配慮を
バングラデシュ高等裁判所の判断が問い掛けるもの

  • 2019/9/13

 障害のある人も、ない人と同等の権利を保障されるべきである。「当たり前のこと」に聞こえるが、障害者の権利を守るための環境づくりは、開発途上にある国々では特に、後回しにされがちだ。バングラデシュの英字紙デイリースターは、「試験で回答をきれいに書けない障害のある子どもたちに特別なルールを設けるべきだ」と命じた高等裁判所の判断を支持し、9月12日付の社説で政府に迅速な対応を促している。

障害のある子どもたちにも学ぶ喜びを=バングラデシュの首都ダッカで ※写真と本文は関係ありません

 社説は、高等裁判所の判断について、「時機を得たものであり、重要なことだ」と称賛する。そして、「現在、障害のある子どもたちは、試験の場面で差別に直面している。彼らのための特別なガイドラインがないためだ」として、例えば脳性麻痺の子どもたちは文字をうまく書くことができないが、そのことを採点者が知らないとしたら、公平な採点ができるだろうか、と指摘した。

 バングラデシュは、国連で採択された障害者権利条約を2007年に締約しており、障害者の権利について啓発する日も毎年設けている。2013年には、障害者の権利擁護のための法律も制定した。しかし社説は、「障害者が必要としていることを十分に満たしているかというと、そんなことはない」として、国際法や国内法を整備しただけでは、法を執行したことにはならない、と指摘する。

 社説は最後に、障害のある子どもたちの権利について、このように記す。「私たちは、障害のある人たちも、そうでない人たちと同等の権利を持っていることを確認しなくてはならない。彼らにも能力を証明できる環境が与えられなければならず、教育の場で取り残されてはならない。政府が一刻も早く、高等裁判所の命令に従うよう希望する」

 「試験の回答方法を配慮せよ」とした高等裁判所の命令だが、その実現にはさまざまな可能性が秘められている。障害のある子どもたちが、他の子どもたちと同じように教育を受け、公平に評価されること。それは、開発途上国であろうと、先進国であろうと、取り組まなければならない重要な課題だ。

(原文:https://www.thedailystar.net/editorial/news/formation-rules-students-disabilities-1798432

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