コロナ対策で広がる在宅勤務の意味
インドネシアの社説が社会の一員としての責任を解説
- 2020/3/27
新型コロナウイルス(COVID-19)は、社会のさまざまな側面を浮き彫りにする。インドネシアの英字紙「ジャカルタ・ポスト」は、3月24日付の社説で、COVID-19の感染拡大を予防するために世界中で増えている在宅勤務について採り上げている。
1500社以上が2週間にわたりオフィスを閉鎖
インドネシアでは、3月23日までに579人の感染が確認され、そのうち医療従事者を含む49人が死亡した。感染者数はこれからも急速に増えるだろうと見られている。
ウイルス拡散阻止のため、同国でも外出抑制に伴う在宅勤務が始まった。「これまで経験のないことだが、多くの労働者が自宅で働くよう強いられている。地方自治体も中央政府も、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、お題目のように国民に外出を控えて在宅勤務するよう唱えている」状況だという。
社説によると、ジャカルタでは州知事の呼びかけの後、1512社のオフィスが3月23日から2週間にわたって閉鎖された。
社悦は、コロナ対策としての在宅勤務についてこう評価する。「在宅勤務の生産性がどうかは問題ではない。人の動きを制限し、ウイルスの拡散を防ぐことが最大の目的であるからだ。実際、このような行動制限に踏み切った国では、感染者数の伸びが鈍化している」
医療崩壊を防げ
もっとも、一部の人々にとって、在宅勤務はなんら新しいことではない。それは、インドネシアでも当てはまる。「特別な機材や装置が必要ない仕事に従事する人々が在宅で働くこと自体は、目新しいことではない。実際、これまでも、財務担当者や企業弁護士、ビジネスアドバイザーらは電話やビデオ会議を通じて仕事をしていたし、ライターや編集者も自宅での作業が可能だった。情報通信技術が向上し、ソーシャルメディア(SNS)も発達するなど、通信インフラが整いつつあったことで、そうしたことが可能になったのだ」。
とはいえ、あらゆる面で在宅勤務の準備が整っていたわけではない。社説は、「今後、コロナ危機が収束する頃には、在宅勤務を大々的に導入するのは時期尚早だという声が少なからず出てくるだろう」と、指摘している。
それでも、社説は「在宅勤務の導入は、コロナ対策として以上に大きなメリットがある」と強調し、次のように続ける。「いかに在宅勤務が名ばかりで生産性が芳しくないとしても、電気代や水道代などの管理コストが削減され、交通量が減った意味は大きい。結果的に、大気汚染の改善が見られたからだ」
さらに、より重要な効果として社説が挙げるのは、ウイルス拡散を防ごうとする取り組みが、医療危機の予防につながるという点だ。「コロナに感染し、命を落とす医療関係者も多い中、感染者をこれ以上、増やさないことは、医療崩壊を事前に防ぐことでもある」。
ひとたび医療が崩壊すれば、感染が今以上に拡大し、死者も急増することは明白だ。この社説は、在宅勤務や外出抑制で気持ちがふさぐ人々に対し、今、彼らが強いられている取り組みの意味や効果、そして、社会の一員としての責任を説いていると言えよう。
(原文:https://www.thejakartapost.com/academia/2020/03/24/home-office-forever.html)