ケニアのイマドキ女子たちの選択
ギャングからお洒落へ? ドレッドヘアの流行が映し出すもの
- 2020/2/29
家族でドレッド、思わぬリスクも
家族みんなでドレッドヘアーにして3年になるというキャサリン・ムリリさんは、最初のうち、偏見を持っていたと振り返る。
「友人にしきりにドレッドを勧められたのよ。長男もドレッドにしていて、綺麗に見えるからお母さんもどうかと言ってくれてね。本当はずっと前から試したかったんだけど、当時、ドレッドはケニアであまり好ましく思われていなかったから躊躇していたの」
当時はドレッドが「ちょい悪のギャング」といったイメージで見られがちで、特に女性にとってはハードルが高い髪型だったという。さらにドレッドは、ムンギキ(キクユ人の宗教セクト、ギャングと同一視されている)のメンバーに多く見られるため、警察からマークされたり虐められることがあるという噂もある。しかし、周囲の後押しに加え、ドレッドをまるでアートのように感じ始めたことをきっかけに、まずは長女に試してみようと思い始めた。
「テレビでドレッドヘアの可愛い女の子を見て、長女もドレッドヘアにしてあげたら周りの評判がとても良いのよ。友達だけじゃなく、学校の先生も褒めてくれるのですって。ドレッドはファッションとしても素敵だし、手入れも楽だし、お金もかからないから、すごくいいね。でも、田舎の実家に帰省すると、父からはいつも小言を言われるわ。世代が違うからだろうね」
今では自身も大手を振ってドレッドファッションを楽しむキャサリンさんだが、髪を売ることについてはどのように考えているのだろうか。
「生活が激変したり、ドレッド禁止の職場に転職でもしない限り、髪を売ることはないと思うわ。今はドレッドの見方もどんどん変わりつつあるので、仕事面では問題ないと思う。ただ、唯一気を付けていることは、お金に目がくらんだ暴漢に髪を切られて売りさばかれることかな。友人がバスの中で居眠りしていたら頭の半分のドレッドが切られていたことがあって、ひどく驚いたわ」