ケニアのイマドキ女子たちの選択
ギャングからお洒落へ? ドレッドヘアの流行が映し出すもの

  • 2020/2/29

「女性らしさ」より「自分らしさ」

 オペトゥ・ハンナさんは、ドレッドヘアを楽しむようになって4年になる。兄がドレッドにしたのを見て、自分も髪型を変えたら大人っぽくなれるのではと思ったのがきっかけだった。

 「ドレッドにしてみると、手入れが簡単で時間がかからないし、サロンに頻繁に行かなくていいからお金もかからなくて驚いたわ。なにより、大人っぽく見えて綺麗なので、この髪型が大好き。もう、身体の一部みたいなものね」

 周りの男性から「もっと女性らしい髪型をしろ」と言われることもあるというが、ハンナさんはこの髪型ではないと自分らしくないと感じており、変える気はさらさらないという。

 実際、「女性らしさではなく、自分らしさにこだわりたい」という声は、彼女に限らず、多くの女性から聞いた。

ドレッドヘアーが自分の身体の一部だと語るハンナさん。イマドキのナイロビ女子らしくお洒落にキマッている(筆者撮影)

 ギャングからお洒落へ。ドレッドが持つイメージは、ここ4~5年で急激に変わりつつある。銀行などの「お固い」職場で今でもドレッドスタイルが禁止されていたり、バスで居眠りをすれば勝手に髪を切られたりと、偏見やリスクもいまだ残っているとはいえ、若者が過半数以上を占めるケニア社会では、人々の意識が変わるスピードは速く、今後、ドレッド人気が一層高まるのは間違いない。

 実際、今回取材した女性たちは、皆、「お気に入りの髪型を楽しむためなら周囲のまなざしは気にしない」ときっぱり話してくれた。

 お洒落を楽しむ女性は強い。ドレッドでよりパワフルになった女性が活躍するケニア社会を心待ちにしたい。

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