ミャンマーで新型コロナの感染者数が急増
行動制限の再強化策に国営紙が国民の理解を訴え

  • 2020/10/16

 ミャンマーで、新型コロナウイルスの感染者が急増している。現地の報道などによると、増加しているのは最大都市ヤンゴンや西部ラカイン州だという。9月29日のミャンマーの国営紙「グローバルニューライトオブミャンマー」は、社説でこの問題を採り上げた。

ミャンマーでは新型コロナウイルスの第二波が深刻だ

検査数を増加

 ミャンマーの9月30日現在の新型コロナウイルス感染者は、1万3,000人余り。死者数は310人にのぼっている。8月末時点での感染者は887人、死者は6人で、この1カ月で感染者数が約14倍にふくらんだ。また、9月半ばと比べても2倍以上に急増しているという。このため、ヤンゴンでは自宅待機が指示され、国際旅客便の乗り入れ禁止は10月末まで延長された。

 社説によると、9月30日からは、約20万セットの抗体検査キットを韓国から導入し、感染が深刻な地域を中心に検査を開始するという。

 「新型コロナウイルスの抗体検査キット20 万セットが韓国から届いた。大量で迅速な検査が各地で始まる。より正確な抗体検査は、患者の治療には欠かせないものだ。現在の検査方法よりもずっと早く結果が出る抗体検査により、新規陽性者の数は日々増えていくだろう。しかし、より早く陽性者を確認することで、より適切な治療ができる。陽性者とその濃厚接触者はすぐに隔離され、さらに確実な結果を出すための検査を受ける」

防疫措置を強化へ

 感染の急速な拡大を受けて、ミャンマー政府は検査態勢の強化だけでなく、一度は緩和した行動制限を再び強化している。

 社説は、「国民は、厳しい活動制限や旅行の制限が、彼らの自由を奪う意図ではなく、地域社会への感染爆発を防ぐためのものであることを理解すべきだ。ヤンゴンをはじめ、日々、新たな感染者が確認されている地域の人々はできるだけ自宅で過ごし、本当に必要な仕事や目的以外の外出を控えてほしい。また、人との間隔は2メートル以上確保してほしい。私たちは通常とは違う状況にある。政府は必要な指示に従わない人々に対し、法的措置を含む厳しい対応をとることにしている」と述べ、国民の協力を求めた。

 ミャンマーの新規感染者の増加は、グラフで見ると明らかに8月下旬から急増している。感染経路が明らかではない市中感染も確認されており、今後の動きが大変懸念される国のひとつになっている。また、ミャンマーと隣接国との国境は、違法労働者や国内避難民が多い場所でもあり、衛生環境や医療インフラが整っていない。いったん感染爆発が起きれば、医療崩壊が起きることは明白だ。

 日本を含む世界の各地で経済活動の再開や、行動制限の緩和が始まっている。しかし、治療薬やワクチンの開発はまだ途上にある。ミャンマーの状況は、比較的感染者数の少なかったアジアの新興国に、新たな感染の波が押し寄せる予兆なのかもしれない。

 

(原文: https://www.gnlm.com.mm/quick-test-results-crucial-in-battling-covid-19/)

関連記事

 

ランキング

  1.  ドットワールドとインターネット上のニュースサイト「8bitNews」のコラボレーションによって20…
  2.  11月5日に投開票が行われた米大統領選挙では、接戦という事前の予想を覆して共和党のドナルド・トラン…
  3.  11月5日に投開票が行われた米大統領選でトランプ氏が再選したことによって、国際情勢、特に台湾海峡の…
  4.  政治的に不安定な国や地域に囲まれながらも、比較的安定した治安と政治を維持してきた中東の王国ヨルダン…
  5.  ジャーナリストの玉本英子さん(アジアプレス・インターナショナル)が10月26日、東京・青山で戦火の…

ピックアップ記事

  1.  ドットワールドと「8bitNews」のコラボレーションによって2024年9月にスタートした新クロス…
  2.  米国・ニューヨークで国連総会が開催されている最中の9月25日早朝、中国の大陸間弾道ミサイル(ICB…
  3.  「すべてを我慢して、ただ食って、寝て、排泄して・・・それで『生きている』って言えるのか?」  パ…
  4.  今秋11月5日に投開票が行われる米大統領選挙は、現職のジョー・バイデン大統領が撤退を表明し、波乱含…
  5.  かつて恵比寿の東京写真美術館で、毎年開催されていた「世界報道写真展」。その拠点となるオランダ・アム…
ページ上部へ戻る