ミャンマーの連邦議会が2008年憲法の改正案を否決
地元紙は「スーチー氏側と国軍側の双方が敗北」と報道
- 2020/3/27
ミャンマーの連邦議会が、アウンサンスーチー国家顧問兼外相の大統領就任を阻むなどしている2008年憲法の改正案を審議し、ほぼすべてを否決した。ミャンマーの地元紙「セブンデイ・デイリー」は3月23日付の社説でこれを取り上げ、関係者すべての敗北だと指摘。教訓をくみ取るように求めている。
「国軍は国民の支持を得る機会を失った」
ミャンマーの2008年憲法は、軍事政権下で制定されたもので、民主化の扉を開くと同時に、国会の25%を国軍司令官の指名枠とするなど、国軍に大きな権限を付与している。また、外国籍の親族がいる人物の大統領就任ができないと定めており、当時野党指導者だったアウンサンスーチー氏の2人の息子が英国籍であることから、スーチー氏の大統領就任を阻んでいる。このため、スーチー氏が実質的に率いる国民民主連盟(NLD)は、同憲法には民主化勢力の政権支配を阻む目的があると主張し、その改正を主要な政策目標としている。ただ、ミャンマーでは、憲法を改正するには全議員の75%以上の賛成が必要となっており、国軍議員の一部が賛成に回らない限り改正できないため、事実上、その実現は非常に困難になっている。
3月中旬に開かれた連邦議会では、合計135の改正点が審議されたが、NLDが提起した国軍任命議員の枠を段階的に縮小するなどの改正案は、国軍任命議員や国軍派の連邦団結発展党(USDP)の反対によって否決された。
これについてセブンデイ・デイリー紙は、「NLDの改正案を国軍が反対して否決したとはいえ、この結果は必ずしも国軍が勝利したことを意味するわけではない」と指摘。その上で、インドネシアでかつて段階的に軍部の権限が弱められた例を挙げ、「国民の支持を得る機会を失ったという意味で、国軍にとっても敗北だった」と論評している。さらに、「国を改革することを決断する国軍が求められている」と述べ、国軍は今回の憲法改正に応え、自らの権力を一部、放棄すべきだったと主張した。
NLDの指導力にも疑問を呈する
その一方で、同紙は、改正案を上程したNLD政権についても、「国軍と前もって協議し、同意を取り付けることができなかった」と批判。「戦略や指導力に疑問符を付けざるを得ない」とすら述べている。
そのうえで、社説は、「ミャンマーの諸問題の源泉は2008年憲法にある」と断言。すでにその制定から12年が経過していることから、「改正は、時期尚早どころか、むしろ遅すぎるぐらいだ」として、早期の改正の実現を求めた。
ミャンマー語原文