【ミャンマー・クーデタ―現地ルポ2】 ヤンゴン一触即発
民衆と警察部隊が対峙 「民主主義守れ」と叫び声
- 2021/2/7
ミャンマー国軍によるクーデターから7日目の2月7日、クーデターに反対する市民らが大規模なデモなど抗議行動に発展している。6日ごろから街頭でのデモが本格化。ヤンゴン中心部では、警察部隊と市民らが対峙する場面も見られ、一触即発の緊迫した状況が続いている。
武装した警官隊とにらみ合い
2月6日以降、ヤンゴン中心部のマハバンドゥーラ公園前で数百人のデモ隊と民衆が、警官隊と対峙する場面が頻発している。同公園前のヤンゴン市役所を守るように配備された数十人の警官隊の前で、民衆らは三本の指を立てて抗議の意を表し、シュプレヒコールを上げて市民の団結を呼びかけた。警官隊はライフル銃を持ち、ヘルメットをかぶり、大きな透明の盾を持った重武装の姿だ。
6日午後には、一人の男性が警官隊の前に進み出て、ペットボトルの飲料水を警官一人一人の前に置いて行った。「市民に銃を向けないでほしい。我々に協力してほしい」と訴えているようだった。警官隊は市庁舎の向かい側にある公園に進み、展開する範囲を徐々に広げた。群衆からは、拍手の音が大きくなっていった。そうしたうちに、デモ隊はこの場所での抗議行動を終えて移動することを表明。一触即発のにらみ合いは、こうして終わった。
デモに参加した20代の会社員男性は「いま仲間たちと何ができるか相談しているところだ」と話していた。公園で抗議に参加した別の会社員男性は「どうしていいかわからないが、いてもたってもいられなくてここに来た」と興奮して話した。
ヤンゴン各地でデモ頻発
デモはそのほか、若者の集まるスポットとして有名やヤンゴン・レーダン地区などでも行われた。7日には若者ら数千人が参加し、ヤンゴン市街の西部を練り歩いた。一人が「団結しよう」と呼びかけると、「そうだ、そうだ!」とデモ参加者が応じる。沿道の住民は拍手で支持を表明するほか、飲料水などを差し入れたデモ隊をサポートしていた。
このほか、10人ほどの小規模な集団が、街角に出て抗議行動を行うなどする動きも頻発している。
2月2日以降毎晩行われている金物を鳴らす抗議活動もより活発化している。生ビールの樽を叩く居酒屋店員や、お盆を叩く飲食店店員、ベランダの手すりを叩くマンション住民など、それぞれ大きな音を出して抗議している。クラクションを鳴らしながら、三本指を立てた腕をウィンドウから突き出す自動車もあちこちで見られた。
ただ、こうした抗議行動に心配の念を抱く市民も少なくない。デモ隊が通りかかった雑貨店の女性は、「近づいてはいけない。きっと撃たれてしまう」と筆者に忠告した。
これまでのところヤンゴンで当局がデモを鎮圧したとの情報はない。しかし、ミャンマー中部マンダレーなどでは、抗議活動の参加者が拘束されたという。
クーデターに対する市民の怒りは大きく、抗議行動は今後激しさを増すとみられる。その中でミャンマー国軍はどのような動きに出るのか。予断を許さない状況が続いている。