徴兵制開始後のミャンマー 絵画や教育を通じて戦う人々の声を聞く
非暴力の抵抗運動 難民画家の巡回展に込められた祈り
- 2024/4/13
「希望の光がさす時代がくるように」
日本から祖国の民主化を支援するミャンマー人も多い。日本で働くハンナさんやジャスミンさんは、九州で募金活動やミャンマーの窮状を訴える活動を続けてきた。時にはうまく伝わらないもどかしさを感じることもある。ハンナさんは言う。「人権は、生まれてから死ぬまでの一生の中で、最も大事なこと。しかし、当たり前のように人権が保障されている日本人にとって、その大事さを感じることは難しい」
ジャスミンさんも「ミャンマー人が日本で長く働けるように、あたたかく受け入れてほしい」と願う。「海外から民主化支援をした人は、ミャンマーに帰国すると軍に逮捕され、拷問や殺害されるかもしれない」からだ。反軍政の意思と引き換えに、帰る場所を失った彼女らの現実を、改めて思い知る。
それでも彼女たちが現状を懸命に伝え続ける理由の一つは、支援を必要とする難民の数が増え続けているためだ。国連人道問題調整事務所(OCHA)の3月20日付の発表によれば、戦闘が全土で激化していることから避難民の数は280万人を超え、クーデター以前の30万人に比べ、ほぼ10倍に増えた。現地では乾季に入って水の確保さえ困難な日々が続いている。
「ミャンマー国民が安心して暮らせる時代、希望の光がさす時代がくるように」。会場に、ハンナさんの祈りに似た声が響く。内戦が激化するミャンマーで、武力ではなく、絵画で、教育で、あるいは言葉で、現状と闘う人たちがいる。人権や自由をその手に取り戻すまで、彼らの非暴力の闘いは続く。
早稲田奉仕園スコットホールギャラリー(東京都新宿区)で開催中!
2024年4月11日(木)〜14日(日)
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