日系マイクロファイナンス機関がラカインに進出
自立への願いを小規模金融に乗せて
- 2019/7/21
新支店長の挑戦
ミャンマー西部ラカイン州タンドゥエのチャンピン村。広い青空の下を心地よい風を切って走っていたバイクを止めてエンジンを切ると、青年は一瞬でなまあたたかい空気に包まれた。鶏の鳴き声と低いモーター音、そして、タン、タンという規則的な音が、広い空の下に響く。慣れた様子で音のする方へとあぜ道を歩き始めた青年を女性が出迎え、母屋の二階へと案内する。
青年の名は、タンタイウー。女性を対象に無担保で事業の元手となる少額資金を貸し出すマイクロファイナンス機関MJIで働いている。MJIは6年前に設立され、現在はミャンマー国内に1万3,000人弱の顧客を擁する日系のマイクロファイナンス機関である。今年4月、少数派イスラム教徒ロヒンギャへの迫害問題で世界的な注目を集めるラカイン州の営業認可を取得し、ここタンドゥエと、南部のグワに支店を開いた。
営業認可が下りる1カ月ほど前に、中部のバゴー管区の支店からタンドゥエに異動してきたタンタイウーさんは、着任以来、支店長兼エリアマネージャーとして支店の開設準備を率いる傍ら、暇を見つけてはバイクを走らせ、近隣の家々の暮らしぶりを聞き取っている。この辺りではちょっとした有名人だ。
この朝、タンタイウーさんを出迎えたのは、くりっとした意志の強そうな目が印象的なチンオーインさんだ。1年前からミャンマー初のマイクロファイナンス機関であるPACTの融資を受けているが、MJIもこの地域で融資を開始すると聞いて手を挙げてきたのだという。