公的機関が手を携えて悲劇の防止を
公的機関が手を携えて悲劇の防止を

  • 2021/12/17

 新型コロナが世界に広がって2年近くが経つ。長期にわたる健康不安や経済的な困難は、人々に何をもたらしたのか。11月30日付のパキスタンの英字紙ドーンは、この問題を社説で採り上げた。

(c) Shazaf Zafar / Unsplash

家族を養えず自殺

 ファヒーム・ムガールさんはメディアで働いていたが、失業した。リキシャの運転手として妻と6人の子どもたちを養っていたが、先週、カラチで自殺してしまった。家族を支えることができなくなったからだという。
 社説は、「新型コロナがもたらす経済的、心理的困難は、失業問題やインフレとも重なり、多くの人の心の健康に深刻な打撃を与えている。追い込まれた人々は、助けを得ることができないまま、悲劇的な結末を迎えている」と指摘した上で、「このような悲劇は多くの国で起きている」と言う。
 「状況はロックダウンや経済活動の制限によって悪化しており、心が傷ついた人々が最終手段を選ぶ前に緊急に手段を講じる必要がある。家族や友人、同僚が心を病んで抑うつ状態になった時、どのように察知し、どう対処すべきかに着目した啓発が重要だ」

メンタルヘルスの偏見をなくせ

 さらに重要なのが、メンタルヘルスの専門家たちによるヘルプラインだ。社説は、「こうしたヘルプラインによって得られる専門家からのアドバイスが、彼らの生死を分けるかもしれない」と指摘する。しかし、パキスタンには残念ながら信頼できる精神科の専門家がいない。「苦境に絶望した人々が自らを傷つけることのないように、国と地方政府は手を携えてメンタルヘルスの問題に取り組み、偏見をなくさなければならない」と、社説は訴える。
 目に見えやすい体の病気とは異なり、心の病は自分でも気が付かないことがある。欧米諸国では身近なカウンセリングも、パキスタンをはじめ途上国では珍しいばかりか、心の病に対する偏見も根強い。「家族や友人を守るために、心の健康について正しく理解し、関心を持とう」という社説の呼びかけは、裏を返せば、パキスタン社会で心の病が放置されていることの表れでもある。

 

(原文https://www.dawn.com/news/1661099/mental-health-concerns)

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