ガザの戦闘激化で南アジア各紙がイスラエルを強く非難
高まる国際社会の圧力はこの惨状を止められるか

  • 2024/1/16

 イスラエル軍の攻撃により、ガザでは2023年10月7日以降、死者は2万人を超え、負傷者数も5万人を超えた。ガザで暮らす230万人のほぼすべてが家を失ったともいわれ、あまりの惨状にイスラエルに対する国際的な圧力が高まっている。

爆撃により破壊されたガザの街並み(2023年10月17日撮影) (c) Saleh Najm and Anas Sharif / wikimediacommons

「イスラエルは勝利しても弱体化する」と見るインド紙

 インドの英字メディア、タイムズオブインディアは2023年12月15日付の社説で、「イスラエルは今、自らの首を絞めている」と書いた。

 社説は、イスラエルが世界から共感を得られないままガザを攻撃し続けることは、イスラエルにとって決して良いことではない、と断じたうえで、「ネタニヤフ首相は、たとえガザとの戦争に勝っても、結果的にイスラエルを弱体化させるかもしれない」と指摘した。その理由や背景について、社説は次の5点を挙げている。

 1点目は、ガザへの無差別攻撃作戦を強行しても、イスラエルの望む成果が上がっていないためだ。パレスチナ側に多数の犠牲者を出したにも関わらず、イスラエルは目的を達成できておらず、人質の解放につながっていない、と社説は述べる。

 2点目として、社説はアメリカの姿勢に着目する。これまで常にイスラエルを支持してきたアメリカでさえ、今やイスラエルに圧力をかけている。社説は「イスラエルはもっと危機感を持つべきだ。最近の世論調査ではハマスへの支持が高まっており、ハマスを排除するどころか、定着させてしまっている」と指摘する。

 3点目は、イスラエル軍の犠牲者もまた、最悪のペースで増加していることだ。経済的な損失も増えており、イスラエルにとってのダメージは大きい。

 4点目は、ヒズボラの全面的な参戦など、地域紛争がより広い範囲に拡大する危険をはらんでいることだ。イスラエルが世界の安全保障にとって好ましくない事態を引き起こすのではないかと、国際社会は警戒感を強めている。

 5点目として、ネタニヤフ首相が個人的な政治目的で軍事作戦を続けているのではないか、という疑念が強まっていることにも社説は触れている。

パキスタン紙はバイデン米大統領に注目

 パキスタンの英字紙ドーンも、インド紙同様、イスラエルに対するアメリカの姿勢に注目し、2023年12月17日付で「アメリカの叱責」と題した社説を掲載した。

 社説は、「イスラエルの最もゆるぎない支持者が、穏やかながらそのトーンを変え始めた」と指摘し、バイデン米大統領が「イスラエルは支持を失い始めている」と発言したことを伝えている。

 「今や、各国政府をはじめ、世界中の人々が、ガザで起きていることはイスラエル側の正当防衛ではなく、明白な虐殺だと認識している。もしバイデン大統領がパレスチナ人の死を真摯に憂いているのであれば、イスラエルへの武器輸出を止めるべきだ」

「非人道的な民族浄化を止めよ」と批判するバングラデシュ紙

 バングラデシュの英字紙デイリースターは、2023年12月25日付で「どれだけの証拠があればイスラエルを押しとどめられるのか」と題した社説を掲載した。

 社説は、欧米メディアの調査報道を引用しながらイスラエルによる攻撃を分析する。まず、CNNが行った専門家へのインタビューを引用し、「イスラエルが使用した爆弾は、ガザのような人口密集地では致命的な影響を与えるものであり、西側諸国の軍隊ではあまり使用されていないと指摘されている」と伝えている。また、「イスラエルはガザ南部をパレスチナ人の安全地帯として指定したにも関わらず、強い破壊力をもつ爆弾を200回以上使用した」というニューヨーク・タイムズ紙の報道や、「イスラエルが無差別攻撃を行ったガザのアル・シファ病院には、ハマスの司令部が存在しなかったことが判明した」と伝えるワシントン・ポスト紙の報道も紹介している。

 これらの報道を受けて、社説は「イスラエルの暴走を止めるために、あとどれだけの証拠が必要なのか。パレスチナの人々を絶滅させるという非人道的な民族浄化計画を続けているイスラエルの特権を正当化できるものは何もない」と述べ、イスラエルを強く非難している。

 

(原文)

インド:

パキスタン:

https://www.dawn.com/news/1798556/american-rebuke

バングラデシュ:

https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/how-much-more-evidence-do-we-need-3502801

 

 

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