フィリピン版NASAが誕生
ようこそ、宇宙時代へ
- 2019/8/23
衛星技術は新興国でどう役立つのか
読者からは、「フィリピンのように貧しい国にとって、宇宙開発はまだ遠い先の話ではないか」という疑問が寄せられるかもしれない。そんな疑問に対し、社説はあるフィリピン人天文物理学者の言葉を引用して反論する。「宇宙事業と聞くと、宇宙飛行士を宇宙に送ることをイメージする人も多い。しかし、我々はもっと広く、社会の役に立つ技術の開発に取り組んでいる。例えば、テレビの衛星中継や携帯電話、ブロードバンドなどの通信技術、そしてスマホで活用されているGPS機能――。これらのものは、みな衛星との交信の上に成り立っている技術である」「衛星写真を使えば、環境汚染や天候も分析できる」
そして、社説は、「こうした情報が得られれば、自然災害が発生した時に被災状況を素早く把握し、救助や復興の手がかりとなるし、フィリピンのような島しょ国にとっては、島同士の連結性を高めたり、領海を監視したりするのにも役立つ」と述べ、宇宙開発がいかに社会に役立つか力説する。
「100億ペソの予算と、1,000人以上のやる気のある宇宙科学の専門家たちが、宇宙庁に注ぎ込まれた。新しい宇宙法が制定されたことで、フィリピンの宇宙開発技術が底上げされ、若い世代の関心も高まるはずだ。宇宙開発分野の教育も強化しなくてはならない」「ようこそ、フィリピンの宇宙時代へ」。注文をつけつつも、未来への期待がふくらむ社説となった。
(原文:https://opinion.inquirer.net/123396/a-space-agency-why-not)