2022年に「選挙の年」迎えるフィリピン
地元紙が「あなたの一票は歴史的なリセットにつながる」と訴え

  • 2021/2/15

 フィリピンは2022年、選挙の年を迎える。上下院議員選挙、自治体首長と議員、そして正副大統領選だ。しかしそのための「選挙人登録」は、猛威をふるう新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか進まない。2021年1月29日付のフィリピンの英字紙フィリピンデイリーインクワイアラーは、社説でこの問題をとりあげた。

Element5 Digital (c) Pexels

進まない選挙人登録

 フィリピン国内の新型コロナ感染者は1月末現在で約52万人、死者は1万人を超えた。いまだ収束の方向は見えず、一日の新規感染者は2000人前後となっている。
 こうした状況下で、2022年の選挙に向けた選挙人登録が実施されている。フィリピンの中央選挙管理委員会によると、昨年9月1日に始まった選挙人登録制度で登録を済ませた人数は、1月14日現在、110万人程度。目標の400万人にはほど遠い状況だという。中央選管のガンゾン委員長は、2021年9月30日までの登録期間に登録するよう有権者に強く呼びかけている。
 「選挙人登録が進まないのは新型コロナの感染予防対策として行われている都市封鎖が原因」だとして、選挙の延期を訴える議員も出てきた。
「昨年9月、パンパンガ州のアロヨ議員は、新型コロナウイルスは選挙延期の十分な理由になると指摘した。氏は、選挙運動中や投票所で多くの人が詰めかけ、ソーシャルディスタンスが保たれないといった懸念があると主張している。しかし、この主張は反民主主義的で自分に都合のいい話であり、国民の投票権を侵害する明らかな憲法違反だ、と批判された」
 社説によれば、フィリピン国内では「選挙の延期はあり得ない」という論調が大勢を占めているという。ほかの議員たちは、中央選管が感染予防策を十分に用意できるような予算を確保することや、投票期日を2日間に伸ばして投票所の混雑避けること、投票所をより広い場所に変更すること、などを提案しているという。

問われる投票の意味

 また、「新型コロナの感染拡大下であっても、米国や韓国、シンガポール、アイスランド、ロシアなどでは2020年中に選挙が実施された。中央選管はこれらの国から実施方法を学ぶことができるのではないか」といった指摘も寄せられているという。
 社説によれば、フィリピンの選挙人登録はなかなか手間がかかるようだ。ホームページから記入用紙をダウンロードして記入し、混雑を避けるために事前にアポイントメントをとって選挙課寧委員会へ行く。なお、記入用紙の指紋印の部分だけは証人の目前で押さなくてはならないため空欄にしておき、国の発行したIDのオリジナルとコピーを持参する。感染を避けるために、ボールペン、マスクとフェイスシールド、消毒剤、飲料水は自分で用意して持っていく必要があるという。写真撮影などもあり、選挙管理委員会での登録作業は2時間ほどかかるという。
 社説は、「確かに時間も手間もかかる作業だ。しかし、ふさわしくない為政者に自らの行いを説明させ、人々の信頼を受ける人だけを為政者として選ぶ特権を得るためだと思えば、価値のある時間だと言える」と指摘した上で、次のように述べる。
 「選挙人登録して投票をするということは、世界に対して自分が民主主義に責任をもって関与していること、この国の未来に発言権があるということを示すということだ。投票権を持つということは、社会を変えるチャンスを確実に得ることになる」
 その上で、社説は2022年の選挙を「歴史的なリセット」になると位置付ける。
 「フィリピンは今、岐路に立っている。経済は戦後最悪の状態にあり、世界で最も長い都市封鎖に苦しみ、多くのビジネスが倒産し、失業者が増えている。2022年の選挙は、次の世代を救うか、破滅させるか。この危機的な時に実施される選挙で投票をすることは、特に若い世代にとって大切だ。2000万人の国民、600万人の有権者の声は、投票によって発信され、私たちの未来を形作る。賢く行使してほしい」
 フィリピンだけでなく、どの国でも、どのような選挙であっても同じことが言える。今一度、政治に参加するということの意味を考えたい。

 

(原文: https://opinion.inquirer.net/137350/your-vote-a-historic-reset)

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