スリランカの女性をもっと政治の舞台へ
世界で初めて女性首相を誕生させた誇りを再び

  • 2020/8/31

 女性の社会進出の必要性が叫ばれて久しい。「今さらそんな当たり前のことを」とも思うが、男女平等が実現した社会にほど遠い現実を思えば、「何度でも繰り返し問いかける」ことが必要だ。8月17日付のスリランカの英字紙デイリー・ニューズでは、社説でこの問題を採り上げた。

スリランカでは女性の政治参加を促進すべきとの論調が高まっている (c) Robin Noguier / Unsplash

世界初の女性首相

 スリランカは、実は世界で最初に女性の首相を誕生させた国である。1960年、スリランカ自由党の創設者だった夫・ソロモン・バンダラナイケ首相を暗殺で亡くした妻、シリマヴォ・バンダラナイケ氏がその後を継いだ。社説はこの事実を誇りとして掲げながら、「しかし今、わが国は女性の政界進出において大変遅れをとっている」と、嘆く。

 社説によれば、スリランカの国会には今、女性議員は12人しかいない。閣僚には女性が1人しかおらず、地方議会にも女性は一握りしかいないという。「これはまったく健康的な国とは言えない。女性の声は非常に重要だからだ。私たちは南アジアの国々においても遅れをとっている。草の根レベルで、社会が発展するためには何が必要かを知っているのは女性だ。女性は、共同体の開発に何が足りないのか、よく知っている。だからこそ、女性が声を上げる場を、そして実行させる場を、作らなくてはならないのだ」

 スリランカにおいて女性議員が少ない原因を、社説はこう分析する。

 まず、現在政界にいる女性たちの多くが、「父親や叔父や兄弟たちから政治活動を受け継いでおり、女性候補者が、このようなつながりなしに政界に入ることは非常に珍しい」ことだ。

「各政党はもっと多くの女性を候補者にするべきだ。NGOや地域の団体で活躍している女性たちを探すべきである。今度選挙が実施される地方議会は、こうした女性たちが日ごろの考え方や活動から知った課題などに取り組み、その政治的なキャリアを開始するのに最適な場所だ」と、社説は指摘する。

メディアの役割も大きい

 一方、社説は、女性たちが政治に決して無関心ではないと強調する。「スリランカの女性たちは、政治的な知識を持ち合わせている。彼女たちは、投票人口の過半数を占め、どの投票場に行っても、女性たちの長い列ができている。これは彼女らがどれだけ熱心に参政権を行使しようとしているかを示している。豊かな知識を持ち合わせる彼女たちの意見は貴重で、的確だ。このようなことがなぜ、政治に反映されないのかが不思議だ」

 女性の経験や知識が活かされない理由として、社説は「女性が女性に投票しないこと」を挙げた。「女性は女性に投票しない。女性候補者たちは、もっと多くの女性の支持を得るための努力をしなくてはならない」

 また、政治家になるためには、家系であるとか、政党有力者とのコネクションがあるとか、そういった要素が必要であるという現実も、女性が政治家になるための障壁だという。社説はほかにも、活動資金が確保できないことや、選挙活動にからむ暴力や脅迫の多さも、女性を政界から遠ざけている、と指摘する。

 最後に社説が挙げるのはメディアの役割だ。「メディアの役割も大きい。メディアは、国内外の女性政治家たちの物語をもっと伝えて啓発するべきだ。特に、縁故や家系とは関係なく、たたきあげで政治の世界に入り、活躍する女性たちの姿を伝えてほしい。これは、多くの女性たちの心に、希望の種を植えるだろう。そのうちいくつかは、具体的な行動につながるかもしれない」

 世界経済フォーラムが毎年発表している「グローバルジェンダーギャップ指数」によると、スリランカは153カ国中、102位である。これは、女性議員数や女性の教育、経済活動への参画などの状況を点数化した指数だが、スリランカにおける女性の地位が、まだ世界では下位にあることをうかがわせる。

 ちなみにこの指数によると、日本は121位。スリランカよりも、ずっと下である。

 

(原文: http://www.dailynews.lk/2020/08/17/editorial/226035/more-women-politics-please)

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