タイとバングラデシュで相次いで行われた総選挙を地元紙はどう伝えたか
秘匿性と公平性への疑念と不均衡なジェンダーに注がれる批判的なまなざし

  • 2026/3/17

 アジアで選挙が続いています。2月8日にはタイで下院総選挙が、2月12日にはバングラデシュで総選挙が行われました。それぞれの地元紙の報道ぶりを振り返ります。

「2026年国民投票および第13回国民議会選挙」の結果について説明するA.M.M.ナシル・ウディン中央選挙管理委員長(2026年2月13日撮影) ©Press Information Department of Bangladesh / wikimediacommons

結果発表の大幅な遅延でささやかれた「疑念」

 タイでは、2月8日に実施された下院総選挙の結果が3月4日にようやく確定し、アヌティン首相率いる保守派の少数与党「タイ名誉党」が第1党になった。この選挙は2月下旬になっても結果が確定しなかったため、現地では選挙不正を疑う声が高まっていた。
 タイの英字紙バンコク・ポストは、結果が確定する直前の2月26日付で「選挙委員会の危機が深刻化」と題した社説を掲載した。
 社説は、「投票の秘匿性と選挙の公正性を損なう恐れがある投票用紙をめぐる疑念が、選挙管理委員会(EC)を窮地に追い込んでいる」と述べ、「2月8日の総選挙が無効になる可能性について国民の不安が高まっている」と伝えている。
 社説によれば、今回の投開票をめぐってさまざまな「疑念」が生じていたという。たとえば、投票所責任者や開票作業員が買収された可能性や投票用紙の不備など、不適切な対応があったという訴えが報じられている。また、「選挙管理委員会が開票作業を100%完了できないことについて明確な説明がないまま結果承認が遅延し、開票率が95%のまま停滞している状況は、国民の疑念をさらに深めている」と、社説は報じている。実際、2023年に行われた選挙では、投票所が閉鎖されてからわずか3時間後には選挙管理委員会が結果を発表していたという。
 社説は、「残念ながら、選挙管理委員会の不十分な対応と悲惨なコミュニケーションは信頼の空白を生み、国の投資環境を損なっただけでなく、政治的な対立を煽った」と指摘。もし、今回の総選挙が最終的に「違憲」となった場合には、「長期にわたる権力の空白を回避するために、新たな投票を早急に実施しなければならない」と訴えていた。

「ジェンダーの不平等は民主主義の実践への脅威」

 タイと相前後して総選挙を実施したバングラデシュでは、女性の当選者が少なかったことについて問題提起する社説が2月15日付の地元デイリースターで掲載された。
 バングラデシュでは2月12日に総選挙が実施され、バングラデシュ民族主義党(BNP)が圧勝した。2024年に若者を中心とした抗議行動によって政変が起き、当時のアワミ連盟政権が倒されてから初となった今回の総選挙では、若者たちの政党も6議席を獲得し、第三勢力として政治参加している。
その一方で、社説は、立候補した85人の女性候補者のうち、当選したのはわずか7人だったと伝えている。7人のうち6人はBNP、1人は無所属だった。さらに社説は、「女性候補者の約3分の1が有力者の親族だった」と述べ、バングラデシュで女性が政治参加することが依然として困難であることを指摘した。
 社説は、「選挙戦を戦う政治家たちの女性エンパワーメントに関する公約や発言は、根強い不均衡を改善したいという真摯な願いというより、むしろ型通りのものに聞こえる」と述べ、既存政党や政治家たちがジェンダー平等に本気で取り組んではいない、と分析。そのうえで、「人口の半数を占めるジェンダーの不平等は、民主主義の実践そのものに対する深刻な脅威」だと強く批判している。

 

(原文)
タイ:
https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/3205370/election-commission-crisis-widens

バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/politics-remains-rigged-against-women-4106081

 

 

 

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