総選挙で中道政党が圧勝したバングラデシュを近隣諸国はどう見るか
「民主主義の旅路を再開」と好意的に報道
- 2026/3/15
バングラデシュで2月12日に総選挙が実施され、主要政党のバングラデシュ民族主義党(BNP)が3分の2を超える議席を得て圧勝した。バングラデシュでは2024年8月、若者を中心とした反政府デモから政変が起き、当時のアワミ連盟・ハシナ首相を辞任に追い込み、ノーベル賞受賞者のユヌス氏を暫定顧問とする暫定政権が政治を担った。
今回の選挙には、2024年の反政府デモを主導した若者グループが政党を立ち上げて候補者を擁立しており、その行方も注目された。今回の選挙結果を近隣諸国はどう報じたのか、各国の報道ぶりから探る。
パキスタンは暫定政権を評価しアワミ連盟の復権を訴え
パキスタンの英字紙ドーンは、2月14日付の社説で「バングラデシュは、激動の18カ月を経て民主主義への完全な復帰に向け軌道に乗っているようだ」と評した。
社説は選挙について、「不正や暴力の報告はあったものの、選挙はおおむね自由かつ公正に行われ、ユヌス氏の暫定政権はこの困難な作業をうまく管理したようだ」と評価する。
その一方で、新しく首相に就いたタリク・ラーマンBNP党首に対しては、「今後、主に生活水準の向上と経済の荒波を乗り切ることで国民の期待に応える必要がある」と指摘。「完全な民主主義に回帰するためには、アワミ連盟の復権を検討すべきだ。ハシナ政権が重大な人権侵害に関与したことは疑いなく、責任者は正義の裁きを受けるべきだが、同党全体を禁止するべきではない」と述べた。
インドは関係の再構築に期待
ハシナ前首相が逃げたインドは、どのようにとらえているのか。インドの英字紙ヒンドゥーは2月14日付の社説でこの話題を取り上げ、「BNPの圧勝は、インドとバングラデシュの関係を再構築する機会になる」と、前向きに評価した。
社説は、「新政権の最優先課題は、旧来の政治機構の復旧と政治的和解の実現だ。これは、政治犯の釈放や、アワミ連盟への働きかけを意味する」と述べた。さらに、イスラム主義政党のジャマート・エ・イスラミ連合が敗れたとはいえ過去最高の議席数を得たことについて、「より活発な野党となったジャマートは、女性の権利や宗教政治の面で後退的な路線を掲げる指導者のもと、中道政権を右傾化させようと試みるだろう」との懸念を示した。
そのうえで社説は、インドのモディ政権に対し、「良好な関係にあったハシナ氏をかばったことによって悪化したインドとバングラデシュの関係を修復しなければならない」と主張する。もっとも、ハシナ氏は、バングラデシュにとっては「指名手配中の逃亡者」である一方、インドにとっては「来賓」であるため、扱いは非常に難しく、慎重になるべきだ、とも指摘している。
大きな安堵感を示すネパール
また、2025年に政府がSNSの使用禁止命令を出したのを機に若者を中心とした抗議活動が起き、当時の政権が倒されたネパールは、バングラデシュの動きを常に「我がこと」として見つめてきた。そんなネパールの英字紙カトマンズ・ポストは、2月16日付の社説で「バングラデシュ、穏健路線に賭ける」と題し、この話題を取り上げた。
ネパールでも、3月5日に総選挙が実施されたが、選挙を前に「有権者の6割以上が投票し、選挙は成功した」とバングラデシュの結果を報じたこの日の社説からは、大きな安堵感が伝わってくる。「今回のバングラデシュの選挙は、ネパールにとって心強い教訓となる。あれほどの流血を経験したバングラデシュが選挙を成功させることができたのなら、はるかに問題が少なく争いの少ないネパールがそれを成し遂げられない理由はない」と、社説は指摘している。
さらに、「BNPのような穏健勢力が政権を掌握したことは、バングラデシュだけでなく、地域全体の利益となるだろう。バングラデシュ国民がこの選択をしたことを祝福したい。この選択は、史上最悪の関係にあるインドとの関係を改善し、地域の貿易と接続性に健全な効果をもたらすだろう」と述べ、BNP政権に大きな期待を寄せている。
(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1973152/bangladesh-polls
インド:
ネパール:
https://kathmandupost.com/editorial/2026/02/15/bangladesh-bets-on-moderation













