新型ウイルス対策、初動の責任問われる中国とWHO
武漢の封鎖解除をタイのメディアはどう報じたか

  • 2020/4/13

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、世界で最初に都市封鎖が行われた中国湖北省の武漢で4月8日、2カ月半ぶりに封鎖が解除された。その一方で、世界的な感染拡大は続いており、武漢の都市封鎖解除を手放しでは喜べない現状がある。タイの英字紙・バンコクポストでは、10日付の社説でこの問題を採り上げた。

4月8日、約11週間にわたる中国・湖北省武漢市の封鎖が解除された。写真は高速道路の北武漢料金所でバリケードを撤去する作業の様子 (c) 新華社/アフロ

感染拡大から教訓を学べ

 社説は冒頭で、「武漢の都市封鎖が解除されたが、世界のほかの都市は今もCOVID-19の感染拡大と闘っており、感染拡大の起点と言われるこの中国の都市が“回復”したからと言って、これまでのことを水に流せるという単純なことではない。このような世界的な感染拡大と膨大な死者の数による破壊的な衝撃は、もし、中国と国連の世界保健機関(WHO)が、よりタイムリーに、そして透明性の高い対応をとっていれば、もっと小さくて済んだかもしれないのだ」と述べ、中国とWHOの責任を厳しく指摘する。

 「COVID-19の問題を、政治化したり、特定の地域を指して非難したりするべきではない、という議論もあるが、世界の指導者陣は、中国とWHOに対し、経緯を振り返り、至らなかった部分を認め、ここまでウイルスの感染拡大を許したことから教訓を学ぶよう求めるべきだ」

 その例として、社説は、米国のトランプ大統領がツイートで言葉を選ばずWHOを“中国中心だ”と指摘し、警告を発したタイミングの遅さと中国寄りの姿勢を非難したことを挙げる。さらに、同様の趣旨の批判は、日本の麻生太郎財務相やオーストラリアのスコット・モリソン首相からも出されている、とも言及する。

早急な検証で第二波を防げ

 社説は、中国の責任についてこう表現する。「感染拡大を抑えるために中国が取った対策は、当初、秘密裡に行われ、タイミングも遅かった。不可解な肺炎の事例は昨年後半にはすでに報告されていたものの、中国当局はその深刻さを軽視しただけでなく、警告を発しようとした医師や内部告発者たちを黙らせようとした」。

 さらに、サウスチャイナモーニングポスト紙の報道を引用し、「中国政府のデータによれば、初のCOVID-19患者とみられる症状は、昨年11月に発生していた。しかし、公式発表によると、最初の患者は12月8日に確認されたとされており、原因不明の肺炎患者が武漢で数名発生していることがWHOに報告されたのは、12月31日のことだった」と言う。

 その上で、中国がその後、数週間にわたって「この感染拡大は予防、抑制できる」と主張し続け、国内および国外で感染が拡大し続けてもその姿勢を変えなかった、と指摘。WHOも中国のそうした対応を「適切にデータを提供し、正しい対応を取っている」として容認し続けた、と批判する。実際、WHOは、中国での感染数が1万2,167人に達した今年1月30日の時点でも、「渡航や貿易を制限することは推奨できない」との見方を示していたのだ。

 WHOが今回の感染拡大を「パンデミック」と認めたのは、3月11日のことだった。社説は「その時、感染はすでに世界に広がっており、警告の発出は遅すぎた。中国とWHOは、世界の足を引っ張ることになったこのウイルスについて、“何もしなかった”責任を認めなければならない」と、結論付けている。

 世界中の人々が目の前の感染拡大を食い止めるのに必死な今、中国やWHOの過去の判断を分析する余裕のある者はあまりいない。しかし、この社説が指摘している通り、喫緊の検証が求められている。回復ムードを祝う中国を、感染拡大の第二波が襲う前に。

 

(原文:https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/1896845/who-china-must-own-up)

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