ミャンマーの死刑執行に米国はどう反応したか
政府高官や知識人が世論喚起の中心に

  • 2022/8/28

求められる民主主義陣営の団結

 翻って米国は、こうした状況下で、民主派支援や軍へのさらなる制裁強化、ミャンマー担当官の新設といった措置のほかにどのような実効性ある行動を取ることができるのだろうか。

 前出のクラップ氏は、「米国、日本、インド、オーストラリアのQUAD構成国が団結し、QUADと二国間の両ルートでミャンマー軍の犯罪責任を追及することも、ミャンマーに民主主義を取り戻すための一つの可能性だ」と、提言する。

 ただ、仮にこれが実現しても、中国のミャンマー軍支援の姿勢はゆるぎなく、ミャンマー民衆に対する弾圧を短期的に変えさせることは無理であろう。また、QUADや国際社会から中国に圧力をかけても、軍を支援するという中国の基本方針を変更させるだけの影響力はないと思われる。

ミャンマーに平和が戻る日はいつになるだろうか。写真はミャンマーの少年僧。(出典: Pexels

 しかし、ミャンマー軍が著名民主活動家を処刑せざるを得ないほど焦り、追い詰められていることも、また事実だ。民心を掌握できず、暴虐でしか体制を維持できない政権は、内部や外部の要因が組み合わさってあっさり崩壊する場合がある。米国は、自国の対ミャンマー政策、および対中国政策に限界があることを自覚した上で、中長期的に国軍を粘り強く追い詰める作戦を固めつつあるようだ。

ページ:
1

2

関連記事

 

ランキング

  1.  ドイツ・ベルリンで2年に1度、開催される鉄道の国際見本市「イノトランス」には、開発されたばかりの最…
  2.  今年秋、中国の高速鉄道の総延長距離が3万マイル(4.83万キロ)を超えた。最高指導者の習近平氏は、…
  3.  日本で暮らすミャンマー人が急増しています。出入国在留管理庁のデータによると、2021年12月に3万…
  4.  ドットワールドとインターネット上のニュースサイト「8bitNews」のコラボレーションによって20…
  5.  11月5日に投開票が行われた米大統領選挙では、接戦という事前の予想を覆して共和党のドナルド・トラン…

ピックアップ記事

  1.  11月5日に投開票が行われた米大統領選でトランプ氏が再選したことによって、国際情勢、特に台湾海峡の…
  2.  ジャーナリストの玉本英子さん(アジアプレス・インターナショナル)が10月26日、東京・青山で戦火の…
  3.  ドットワールドと「8bitNews」のコラボレーションによって2024年9月にスタートした新クロス…
  4.  米国・ニューヨークで国連総会が開催されている最中の9月25日早朝、中国の大陸間弾道ミサイル(ICB…
  5.  「すべてを我慢して、ただ食って、寝て、排泄して・・・それで『生きている』って言えるのか?」  パ…
ページ上部へ戻る