中国が「9・3軍事パレード」で世界に発したメッセージの裏側
肩を並べた社会主義独裁者の三兄弟 「動乱の枢軸」の行方は
- 2025/9/22
経済関係に見る中ロの亀裂と習氏の焦り
また、第三のロシアと北朝鮮、中国の関係も、見えているほど確固としているわけではない可能性がある。少なくとも、中国とロシアの間には今年に入り亀裂が生まれている。
2025年上半期、中ロ貿易は前年同時期に比べて9.1%減となった。中国のロシアからの輸入が9.6%減少し、中国からロシアへの輸出も8.4%減少したのだ。
2022年にロシアがウクライナに侵攻し、西側諸国から経済制裁を受けたことで、ロシアが必要な工業製品や化学製品をほぼすべて中国に依存せざるを得なくなり、両国の2023年の貿易額が前年比32.7%増となったことは、記憶に新しい。だが、2024年には前年比2.9%増、人民元換算では1.9%増と微増にとどまり、2025年は1割近く減少しつつある。
理由はシンプルで、ロシアが中国からの輸入に制限をかけているのだ。ロシアが中国に依存していた貿易品は、自動車、機械、化学工業製品の三分野だった。特にロシアに輸出される中国製自動車の数は、2022年の16万台から、2023年には84万台に急増。ロシア人が保有する自動車も、2024年には6割以上が中国製となった。スマートフォンも同様で、ロシアのスマホ市場における中国製の割合は2024年に80%を超えた。
こうした状況にプーチン大統領が焦りを募らせたと言われている。ロシアにはエネルギー以外に輸出するものがなく、エネルギーが製品化される製造チェーンを中国にすべて牛耳られている状況が、中国製品の輸入急増によって明白になったのだ。中国にロシア経済を完全にコントロールされることを恐れたプーチン大統領は、中国製の自動車に求める安全性能基準を上げ、安全検査の時間を長くするなどして輸入にブレーキをかけた。
また、ロシア国内の消費者が今、所有している自動車を廃棄し、中国製の自動車に買い替えようとするのを制限するために、2024年以降、廃棄自動車に対する回収費を中国製自動車の価格の3~5割程度に引き上げた。これらの措置により、2025年第一四半期には、中国からロシアへの自動車の輸出量は49%減少した。
こうしたプーチン大統領の姿勢からも、ロシアが中国を強く警戒していることは明らかで、心を許し合い、背中を預け合う同盟関係とは言えなさそうだ。ロシアは中国に対し、貿易の拡大ではなく、ロシア企業に対する投資と技術移転を通じたロシア経済の立て直しを求めているが、これはかつて中国がアメリカから受けた支援と同じである。中国がその後、アメリカにとって最大の脅威へと成長した歴史を鑑みると、中国もロシアに気前よく技術や資金を提供することを躊躇するだろう。実際、中国の銀行や企業がロシアに対する融資や投資を回避する傾向が見られつつある。

ロシアのプーチン大統領(左から2人目)や、北朝鮮の金正恩総書記(右から3人目)らとともに抗日戦争勝利80周年式典に参加した中国の習近平国家主席(左から3人目)© Kremlin.ru / wikimediacommons
今年6月、中国ハッカーがロシアの安全当局からハッキングした秘密文書の中に、中国を「敵国」と形容したものがあることが明らかになった。中国の一部の親ロシア派ネットユーザーは、これをフェイク情報だと主張しているが、実際の中ロ関係が表に現れているような「上限のない協力関係」とは言えないことは、経済関係を見るだけでも、比較的、明白だ。
これらの状況を踏まえると、一見、素晴らしく成功したかのような軍事パレード閲兵式が世界に発信するメッセージの裏側に、習氏の不安と焦りが透けて見える。とはいえ、習氏が台湾の武力統一に執念を燃やしており、アメリカを敵に回して新たな国際社会を主導するために「動乱の枢軸」同盟を形成しつつあることは間違いない。われわれとしては、警戒を強め、対策を考えておくべきであろう。












