バングラデシュの地元紙が気の緩みを警戒
「新型コロナの第二波に備え、政府は対策の徹底を」
- 2020/11/6
新型コロナウイルスの感染の「第二波」が世界的に広がっている。第一波も収束の見通しが立たないまま、感染者が再び増加している国もある。バングラデシュの英字紙デイリースターは、10月27日付の社説でこの問題を採り上げている。
ノーマスク、ノーサービス
バングラデシュでは、新型コロナウイルスの感染者数が累計約40万人に達し、死者は5800人を超えた。今も日々、感染者は増えているが、今年6月をピークに鈍化傾向にある。そのためか、国内でも新型コロナ対策に「緩み」が見え始めているようだ。
こうした状況を踏まえ、社説はまず「残念ながら国内の感染拡大は劇的には減少していない」とくぎを刺す。そして、ハシナ首相が9月中旬、「冬場には感染状況が悪化する」と警告したことを挙げ、「まるで森を抜けたかのように思っている者がいるとすれば、それは誤りだ」と述べ、今なお危機的な状況が続いていると指摘する。
そのうえで社説は、「ノーマスク、ノーサービス」という政府の新たな対策を紹介している。これは、あらゆる機関や市場、教育施設、宗教集会などでマスク着用を義務づけ、マスクをしていない人には利用させないという政策で、マスクを着用しなかったり、着用を嫌がったりする人が増えていることを受けて導入されるという。
社説は、「世界中の専門家が、冬場には新型コロナの感染拡大が悪化すると予測し、第二波は第一波より深刻化すると指摘している。実際、今年初めに第一波を抑え込んだと言われる欧州も、今、第二波に襲われている」とした上で、次のように警戒する。
「ノーマスク、ノーサービスの対策ももちろん悪くはないが、それよりも、政府が以前から進めているほかの対策をなぜもっと厳しく徹底しないのか、疑問が残る。マスクに限らず、公共交通機関の車内や集会時に社会的距離を確保することを忘れてはならない。衛生習慣も忘れられているようだ。当初、多くの人々が抱いていた警戒心がどんどん薄れつつあるように思われる」
第一波の経験に学べ
その上で社説は、「新たな対策を打ち出す前に過去の失敗から学べ」と、重ねて指摘する。
「マスクをしない人や、社会的距離を取らない人、衛生面でのガイドラインを守らない人には法的措置も辞さないと政府は言うが、実際には、こうした指示は徹底されなかった。政府はまず、自ら掲げた対策を徹底させた上で、国際競争の中で遅れをとっているワクチンの確保に向け努力をしなければならない。われわれは同じことを繰り返してはならない」
世界中のどこにも「同じことを繰り返していい」という国はない。ただ、新興国や途上国にとっては、問題はより深刻だ。幸いにも第一波では医療崩壊に至らなかった国であっても、第二波に備える時間が十分にあるわけではない。
新型コロナが人間社会にどのような衝撃をもたらすのかがある程度見えてきた今、国単位というより地球規模での対策が求められている。第一波がもたらした最大の教訓は、ウイルスには国境がないということではないだろうか。
(原文: https://www.thedailystar.net/editorial/news/braving-possible-second-wave-1984701)