タイの社説がオミクロンとの向き合い方を考察
感染のスピードを警戒しながらも、ロックダウンの回避を主張

  • 2021/12/26

 世界で広がりをみせる新型コロナ・オミクロン株による感染。現状では、感染力は強いものの重症化の報告が比較的少ないと言われている。12月8日付けのタイの英字紙バンコクポストは、社説でこの問題を採り上げた。

(c) Michael Marais / Unsplash

まずは静観

 タイ国内では12月半ばまでに新型コロナの1日の新規感染者数は3000人前後になっている。今年8月のピーク時には1日に2万人を超えていたことからすれば、減少傾向にあると言えよう。また、オミクロン株による感染者は、12月半ばまでに8人が確認された。うち4人がタイ人で、それ以外は、タイへの入国時に確認された英国人と米国人、ベラルーシ人で、市中感染には至っていない模様だ。
 この状況を受け、社説はタイ国内のオミクロン株感染拡大について「まずは静観する段階」との見方を示す。
 「現段階ではパニックに陥る理由もないし、特別な手段を講じる必要もない。オミクロン株は、タイをはじめ、世界50カ国以上で感染が拡大しつつあるが、推奨されている対策はこれまで通りの予防策だ。世界の研究者たちは、いまだ、オミクロン株の脅威がどの程度のものかを断定するのは早い、との意見で一致しているようだ。また、米国の専門家によれば、オミクロン株はデルタ株よりも危険度が低い可能性があるという」
 こんなきわめて楽観的な見解を示す一方、社説はオミクロン株の感染が拡大する「スピード」に着目し、次のように述べる。
「オミクロン株は感染拡大のスピードが早い上、オミクロン株がデルタ株の数倍も感染力が強い、との指摘もある。近いうちに世界の新型コロナ感染のほとんどがオミクロン株によるものになるだろう、と見る専門家もいる。さらに、ニューヨークタイムズが報じているように、すでにワクチンを接種した人や、新型コロナに感染した人など、これまで感染リスクが少ないと言われていた人の中でも、オミクロン株に感染する事例が報告されていることは気懸りだ」
 これまでのところ、オミクロン株による感染の症状は重症化しておらず、死者も少ないが、社説は、「オミクロン株に関する情報がさらに必要だ。数週間内に、より詳しい危険性に関する研究結果が明らかになるだろう。公衆衛生の専門家たちは、年末年始も十分に注意するよう呼び掛けている」と、呼びかけている。

経済界の懸念

 他方、タイ経済界の指導者たちは、政府に対し、オミクロン株の感染者が国内で初めて確認された12月初めより、再びロックダウンに踏み切ることのないよう申し入れているという。
 「経済は、新型コロナによる打撃からようやく回復を始めたところだ。11月にはようやく国境での往来を再開した。ここで再びロックダウンが実施されれば、過去2年間、何とか生き延びてきたビジネス関係者たちは壊滅的な打撃を受け、タイ経済は崩壊するだろう」
 経済界が懸念するロックダウンや厳しい行動制限の前提となるのは、新型コロナの感染拡大を政府がコントロールできているかどうか、だ。その意味では、水際の防疫対策や、これまで実施してきたマスク着用やソーシャルディスタンスの確保などの予防策を、国民一人一人が徹底し続けることが求められる。社説によればタイ保健省は、新型コロナの感染検査を、より短時間でできる抗原検査に差し替えるのではなく、時間がかかってもPCR検査のままにしておくべきだ、としているという。
 オミクロン株がどのようなものか、ワクチンや治療薬はどのぐらい有効なのか。現在進行形で専門家たちが解き明かしている最中だ。だが、オミクロン株がどんな正体であろうと、私たちにできることは基本的に決まっている。手洗い、マスク、ソーシャルディスタンス。ニューノーマルな生活で、コロナと共に安全に生活していくことに慣れていくしかないようだ

 

(原文https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2228383/dealing-with-omicron)

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