差別されるバングラデシュの女性起業家
中小企業ローンの貸付は7%
- 2019/12/27
先進国、途上国問わず、女性の起業家には女性ゆえの「差別」がつきまとう。しかし、より多くの支援を必要とする中小・零細企業の経営者や自営業者に女性が多いのも事実だ。バングラデシュの英字紙「デイリースター」の12月20日付の社説では、自社が12月18日に主催した討論会「バングラデシュの中小企業ローン政策:女性起業家の金融へのアクセス」で交わされた内容をもとに、女性起業家に対する銀行の貸付差別を論じている。
「夫の素性」を知りたがる銀行
社説はまず、「女性起業家たちは、今日でも、銀行から中小企業ローンを借り入れる際にがっかりするようなさまざまな障害に突き当たる」と、指摘する。デイリースター紙が主催した討論会では、このことについて多くの女性起業家が不満を述べたという。
たとえば、銀行にローンを申請すると、貸し手は彼女らの夫の素性を知りたがる。夫の職業や素性に応じて信頼性を担保するということは、自立した女性起業家にとって大変失礼なことにあたるにも関わらず、だ。さらに、多くの銀行が「女性には貸さない」と明言している事実も判明したという。社説は、「こうした女性に対する差別は、バングラデシュの銀行ガイドラインに反するものだ」と、強く批判する。
また、貸付は行うものの、3カ月から6カ月の返済猶予期間は与えないといった差別もあるという。中には、政府高官を保証人にするよう無理難題を押し付ける銀行もあったという。バングラデシュ中央銀行は、すべての銀行に対し、中小企業ローンのうち250万タカ(約322万円)を女性起業家に貸し付けるよう指導しているが、十分に守られていないことは明らかだ。
信頼をおける貸付先
その上で社説は、「なぜ銀行が女性起業家に貸付をしたがらないのか、理解に苦しむ」と指摘する。なぜなら、女性起業家の貸付金の返金率は95 % に上るからだ。「焦げ付きがなく、信頼をおける貸付先であるにも関わらず、女性だというだけで貸付をしないのは、冷静に見て理解できない行為だ」と、社説は糾弾する。実際、今年1月から6月までの半期で銀行とノンバンク金融機関が行った中小企業ローンの貸付額のうち、女性起業家に貸し出された金額は、わずか7.35%に過ぎないという。
こうした状況を踏まえ、社説はバングラデシュ中央銀行に対して「中小企業ローンの貸付ガイドラインに従わない銀行には、何らかの措置をとる必要がある」と、指摘。その上で、「女性起業家が不公正な差別を受けた際、それを報告できる受け皿を設置する必要がある」と、提案している。
(原文:https://www.thedailystar.net/editorial/news/women-entrepreneurs-facing-discrimination-getting-bank-loans-1842574)