香港から始まる米中ブロック経済化の行方は
敗色濃厚な中国共産党の「賭け」に注進できる側近なし

  • 2020/8/24

「負け」ではない結末と、新たな賭け

 これに対し、中国政府は、個人事業主から企業まで官民挙げて香港に資金を集め、西側資本の撤退を本土から補うことで金融機能の維持に努めている。中国本土の人民が香港の銀行に口座を開設することを奨励しているのも、その一環だ。これを受け、中国ネットゲーム大手のネットイース(網易)や、Eコマース大手の京東など、中国の大手ハイテク企業が続々と香港取引市場に上場している。多くは米ナスダックとの重複上場だが、いずれ米国市場を追い出されることを見越した香港や本土への回帰策なのは間違いない。

 同時に、中国は、西側自由主義陣営やドル基軸経済からはじき出されても、ASAEAN(東南アジア諸国連合)やEU諸国の親中派を陣営に引き入れて「自力更生」し、「中華経済ブロック」を形成できるか検討している。うまくいけば、香港は中国のための金融センターとして生まれ変わり、中国にとって「負け」ではない結末を迎えることができるかもしれない。

 しかし、香港を起点にした世界経済のブロック化が進み、西側陣営と中華陣営に決別すれば、中華経済圏と組む金融・資本がドル基軸体制からはじかれることは避けられない。そう考えると、中国が今後、ドル基軸に対抗できる人民元基軸圏を形成できるか否かが、中国共産党の命運をかけた新たな賭けになるかもしれない。そのカギを握るのは、中国が推し進めるデジタル人民元だ。

 米トランプ政権は、制裁リストの拡大をほのめかしている。米共和党海外事務組織のソロモン・ユエ副主席は、シンガポールメディアのインタビューに答え、(ジミー・ライ氏逮捕の報復措置として)「紅二代への制裁が間もなく開始されるだろう」と述べている。今後、国安法可決に大きな役割を果たした栗戦書氏ら常務委員も制裁対象となり、高級官僚の個人資産が凍結や送金の危機にさらされる可能性もある。それでも中国共産党は強気を貫き、米国とチキンゲーム的賭けを続けられるだろうか。それとも、今秋の米国大統領選でトランプが敗北することに一縷の望みをかけるのか。

 今すぐこのゲームから降りて負けを清算する方が、中国にとっても香港にとっても傷は浅いはずだが、それを注進できる友達は、習近平総書記にはいない。

 

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