米大統領選で「変化」は生まれるか?
カマラ・ハリス副大統領候補にインドネシアの社説が期待を表明

  • 2020/8/20

 米大統領選が11月に迫っている。現職のトランプ大統領に対し、民主党の候補者となったジョー・バイデン氏は、前回大統領選でトランプ氏が勝利した州でも支持拡大が伝えられており、選挙の行方が注目される。8月14日付のインドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは、社説でこの話題を取り上げた。

11月の米大統領選に立候補している民主党のジョー・バイデン氏に副大統領候補として指名されたカマラ・ハリス氏(出典:ジョー・バイデン氏の選挙キャンペーンサイト https://joebiden.com/)

歴史を書き換える

 社説は、バイデン氏がカマラ・ハリス氏を民主党の副大統領候補に指名したことについて、「多くの人が、良い選択だと考えている。ハリス氏を選んだ理由が、単に黒人女性だということにとどまらず、バイデン氏のこの選択は、アメリカの、いや人類の歴史を書き換える可能性を秘めている」と評価した上で、女性であるハリス氏がバイデン氏とともに大統領選に出馬することについて、次のように述べている。

 「ハリス氏は、これまでに数々の成功を手にしてきた。まず、女性初のサンフランシスコ地方検事に選出され、その後、インド系アメリカ人として初めてカリフォルニア州検事総長を務めた。もし、きたる11月の大統領選で女性初の副大統領に選出されれば、米国初の女性大統領となる道も開けるだろう」

 さらに社説は、「ハリス氏を副大統領候補に指名したことで、バイデン氏は、4年前にトランプ大統領を選出した米国で長く維持されてきた男性中心の政治に変化を起こそうとする姿勢を明らかにした」と述べた上で、トランプ政治について次のような見方を示す。

 「トランプ大統領が行ってきた強硬的な外交姿勢によって、多国間主義は揺らいだ。中国との貿易摩擦の激化や、温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定からの脱退、そして、国連の世界保健機関(WHO)からの脱退警告などによって、米国が欧州やアジア諸国とこれまで培ってきた同盟関係に不協和音が生まれていることは、“強いアメリカ”を取り戻すためだと言われても、アメリカの人々にとって悲しむべきことだったと言わざるを得ない」

男性指導者の「失策」

 さらに社説は、「トランプ政権が米国史上に刻んだ最も有毒な遺産」と呼べる政策として、新型コロナウイルス対策を挙げる。

 「世界を見れば、トランプ大統領をはじめ、ブラジルのボルソナーロ大統領のように権威主義的な男性リーダーの国では新型コロナウイルス対策がことごとく失敗し、女性リーダーの国では優れた政策が実施され、感染から国民を守ることに成功している」

 たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大の抑止に成功したニュージーランドのアーダーン首相は、その筆頭に挙げられるだろう。

 こうした失策のさなか、アメリカではある事件を機に、さらなる「変化」を求める声が高まった。アフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドさんが5月、警察官の残虐な行為によって死亡したのだ。これに抗議し、市民運動Black Lives Matter(黒人の命を守れ)が全米に広がった。社説は「アメリカ国内の変化を求める声は、かつてないほど高まっている。ハリス氏の登場は、こうした動きを受けたものだ」と、指摘する。

 その上で社説は、「女性の起用という面では、インドネシアはアメリカに先んじている」とも主張する。1999年に女性初の副大統領としてメガワティ氏を選出し、その2年後に同氏は女性初の大統領になったためだ。世界を見渡せば、確かに、女性が副大統領候補になったというだけで話題になる状態は、「遅れている」と言わざるを得ない。

 それでも、アメリカが変わることは、好むと好まざるとにかかわらず、世界に多大な影響を与える。

 「ハリス氏が米国の副大統領候補として選挙に出馬することは、歴史的な出来事だ。彼女が変化をもたらすことができるかどうか、注目される。いや、彼女は必ずや大きな変化をもたらすだろう」

 権威主義的で排他的なアメリカから、多様で寛容なアメリカへ。「黒人女性の指導者」に寄せられる期待は、アジアでも大きい。

 

(原文: https://www.thejakartapost.com/academia/2020/08/14/a-change-in-waiting.html?utm_medium)

 

関連記事

ランキング

  1.  「ロヒンギャ問題」を適切に理解するための情報を持ち合わせている日本人は限られている。メディアによる…
  2.  8月末、中国とインドの国境に位置するヒマラヤ地域の係争地ラダック地方に中国が侵攻を試みたのを機に、…
  3.  2020年7月1日、香港に国家安全維持法(国安法)が導入され、一国二制度が崩壊した。1997年7月…

ピックアップ記事

  1.  「ロヒンギャ問題」を適切に理解するための情報を持ち合わせている日本人は限られている。メディアによる…
  2.  8月末、中国とインドの国境に位置するヒマラヤ地域の係争地ラダック地方に中国が侵攻を試みたのを機に、…
  3.  2020年7月1日、香港に国家安全維持法(国安法)が導入され、一国二制度が崩壊した。1997年7月…
ページ上部へ戻る