中国の一帯一路と対ラオス鉄道支援
メコンを渡る国際列車に乗って考えたこと
- 2019/10/9
中国からラオス、タイ、シンガポールへ
そんなラオスで、現在、二本目となる鉄道の建設が進んでいる。「中老鉄路」だ。中国の「一帯一路」政策の下で計画された中国・昆明からラオス、タイを経由し、シンガポールに至る高速鉄道計画のうち、ラオス国内の417キロを指す。中国国境の街ボーテンと、首都ビエンチャンを結ぶ区間である。
中老鉄路の総工費は、60億ドル。海を持たない内陸国ラオスにとって、悲願とも言える本格的な鉄道だ。工事費の7割を中国が、3割をラオスが支出し、開業後の事業主体も両国の合弁会社になるという。2021年12月2日のラオス建国記念日に開業しようと、工期5年の突貫作業が進んでいる。
中国への依存も懸念される。
建設工事が佳境を迎えている今年9月、ビエンチャン郊外のドンルン地区を訪れた。ここに高速鉄道のビエンチャン駅が建設されるという。今は田園が広がり、中国語で「中老鉄路」「中鉄ニ局」と書かれた看板がぽつんと立っているだけだが、レールが敷かれ、最高速度が時速160キロの旅客鉄道と、120キロの貨物鉄道が走るようになれば、現在、バスで1日以上かかるボーテンからビエンチャンまでの所要時間が、3~4時間に短縮されるという。時速160キロが「高速」かどうかは意見が分かれるところだが、計画に際し、ラオス側が高速鉄道にこだわったと言われている。
中老鉄路の建設めぐる懸念材料
しかし、中老鉄路の建設工事は一筋縄ではいかない。ボーテンとビエンチャンの間は山が多く、トンネルを75カ所に掘り、橋梁を167カ所に架ける必要があるためだ。総延長距離の6割がトンネルと橋梁に相当するため、自然環境への影響も甚大だ。
実際、中国企業の建設現場を訪れた時、駅の建設予定地や、全417キロにわたる線路の両側50メートルの土地の使用権が、中国とラオスの合弁企業に半永久的に付与されると耳にした。