マレーシアがワクチン接種で勝利宣言
集団免疫の獲得は道半ば
- 2021/7/28
世界各地で新型コロナ対策としてワクチン接種が進んでいる。マレーシアでは、当初の計画よりも順調に進んでおり、7月25日のマレーシアの英字紙ザ・スターは社説でこの話題を採り上げた。
1日に50万人以上が接種
マレーシアでは、今も新型コロナの1日の新規感染者が1万7000人前後と増加傾向にあり、深刻な状況が続いている。その一方で、ワクチン接種は順調に進んでおり、そのことに対しては一定の安堵感も漂っている。
「東京五輪が開幕したが、マレーシアはすでに世界の舞台で大きな勝利を手にした。我が国では、1日に45万回以上、ワクチン接種を行っている。過去3日間で140万人が接種した。これは多くの先進諸国よりも多く、スピードは世界で最も速い。7月22日には、1日あたりとしては最多の50万7050人が接種した。マレーシアは<やればできる>ことを証明した」
社説によると、7月23日までにマレーシア国内では1650万人がワクチンを接種し、うち530万人が2回目の接種まで終えている。ワクチン接種が始まった当初はスピードが遅かったものの、7月に入りワクチンが大量に入手可能になったこともあって、劇的に早くなったという。
その上で社説は、「ワクチン接種だけが新型コロナ感染拡大の抑止策ではない」と、注意を呼びかける。また、集団免疫を得るためには、接種可能な人口3200万人のうち、8割に相当する2600万人がワクチンを接種することが必要だが、実際に登録しているのは1930万人にとどまっている。社説は、「国民一人一人が責任を果たす必要がある」と、強く訴える。
成人は10月までに終了
社説は、「より多くの人がワクチン接種をすれば、新型コロナの新規感染者が減少する。マレーシア政府は10月までに成人のワクチン接種を終了する計画にしているため、これからの3カ月間が非常に重要だ」と、指摘する。
「このところ、日々のワクチン接種率は、初期の目標を上回っている。このペースを落とすべきではない。また、現在、国内には765カ所のワクチン接種センターが設置されているが、政府は、企業や団体が自分たちの施設をワクチン接種センターとして利用できるように推進すべきだ。そうすれば接種のために遠くまで出かける必要がない上、高齢者にとっても便利だ」
社説は、「新型コロナのワクチン接種の成功は、マレーシアの経済回復にとって非常に重要であり、失敗できない」と、強調する。
ワクチン接種率を向上させるために、世界でもさまざまな手段が講じられている。医療インフラの状況、保有するワクチンの量、ワクチンに対する社会的、文化的な考え方の相違など、国によってワクチン接種をめぐる環境は大きく異なる。しかし、先行事例は、成功例であれ、失敗例であれ、世界中で共有され、各国政府や保健医療の担当者はそれを参考にしつつ、自国の環境に応じて効率の良いワクチン接種を目指すべきであるのは間違いない。
(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2021/07/25/were-winning-the-vaccination-game)