【ミャンマー総選挙2020】沈黙のまま選挙終盤へ
コロナ、治安悪化、情報統制の3重苦で議論深まらず

  • 2020/10/30

与党は政策論争避ける

 一方、選挙戦で政策論争が盛り上がりに欠ける原因はまだある。それは意外なことに、前回選挙で政権の座に就いたNLDの候補者の発言を制限する方針によるものだ。NLDの各候補者は、インターネットなどで支持を訴える際、具体的な政策にほとんど言及しない。現場の運動員によると、これは党の方針だという。あるNLDの幹部は「初めて出る候補もおり、そうした人は政策を十分に説明できない。政策についてのマスコミなどの質問には答えないことにしている」と話している。

多数の感染者が見つかったため封鎖されたヤンゴンの通り(筆者撮影)

 今回の総選挙はこうして多くの問題を抱え、盛り上がりに欠ける選挙戦となってしまった。そしてこのことは、広い支持基盤を持つ与党NLDに有利に働き、小規模政党や新人候補には不利に働くとみられる。新型コロナの状況次第では各党ともに集会などの選挙運動を再開する方針だが、実際に可能かどうかは不透明だ。こうして諸外国の通常の選挙とは程遠い状況のまま投票日の11月8日が近付いている。

固定ページ:
1

2

関連記事

ランキング

  1. (c) 米屋こうじ バングラデシュの首都ダッカ郊外の街で迷い込んだ市場の風景。明るいライトで照…
  2. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  3.  ミャンマーで2021年2月にクーデターが発生して丸3年が経過しました。今も全土で数多くの戦闘が行わ…
  4.  2024年1月13日に行われた台湾総統選では、与党民進党の頼清徳候補(現副総統)が得票率40%で当…
  5.  台湾で2024年1月13日に総統選挙が行われ、親米派である蔡英文路線の継承を掲げる頼清徳氏(民進党…

ピックアップ記事

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  2. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  3.  フィリピン中部、ボホール島。自然豊かなリゾート地として注目を集めるこの島に、『バビタの家』という看…
ページ上部へ戻る