自分たちの言葉を守る戦い
カチン語ニュース雑誌カチンタイムズの記者魂

  • 2019/9/30

タブーに挑む地元記者

 目下、カチン州のマスコミを騒がせているのは、中国資本によるバナナのプランテーション農園に関するニュースだ。同農園は、環境問題や土地の問題などから批判を浴びていたが、記事を巡り地元のミャンマー語誌「ミッチーナ・ジャーナル」との間で訴訟合戦になっている。こうしたことはヤンゴンのマスコミにはほとんど取り上げられておらず、地元記者が奮闘している状況だ。

カチンタイムズ編集部が入居する伝統様式の建物(筆者撮影)

 地元で複雑な問題を取材する際には危険も伴う。

 ある時ゾーリンプラさんは、やくざが地上げのために放火したとされる事件を取材した。取材途中でやくざに見つかり、ゾーリンプラさんはバイクに飛び乗って全速力で逃走、追ってくるやくざとカーチェイスとなった。無事に逃げ切ったゾーリンプラさんは記事を執筆し、その後やくざは逮捕されたという。

 それ以外にも、地元ジャーナリストが直面する危険は数多い。

 ミャンマーでは数多くのジャーナリストの自由を制限する法律が存在する。中でもミッチーナの記者らを恐れさせているのは、武装勢力などの支援を禁じる「非合法結社法(Unlawful Association Act)」だ。カチン州にはミャンマー国軍とカチン系少数民族武装勢力が内戦を続けており多数の国内避難民が発生している。

  また、ミャンマー政府の支配の及ばない少数民族武装勢力の支配地域も存在する。こうしたニュースを取材することも必要になってくるが、同法で摘発されてしまう可能性も捨てきれない。ビルマ語ニュースサイト「カチンウェイブ」創始者のマラントゥイアウンさんは「ビルマ族のジャーナリストも厳しい状況だが、カチンの記者はもっと注意が必要な状況だ」と話している。

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