【歩く・見る・撮る】― 写真民俗誌/民族誌へのいざない ―
ミャンマー(ビルマ)から ㉓<制限速度/数え方(数字)>

  • 2024/5/30

ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全権を掌握した」と宣言してから3年以上が経過しました。この間、クーデターの動きを予測できなかった反省から、30年にわたり撮りためてきた約17万枚の写真と向き合い、「見えていなかったもの」や外国人取材者としての役割を自問し続けたフォトジャーナリストの宇田有三さんが、記録された人々の営みや街の姿からミャンマーの社会を思考する新たな挑戦を始めました。時空間を超えて歴史をひも解く連載の第23話です。

 ㉓<制限速度/数え方(数字)> 

 ビルマ(ミャンマー)各地をバイクで回った際、距離の表記にアラビア数字とビルマ数字が混在していることに気付き、前回の【㉒<里程標>】で報告した。このアラビア数字とビルマ数字の混在は、距離だけでなく、制限速度を示す標識でも見かけた。軍事独裁政権国ビルマ(ミャンマー)が長らく国を閉じていたために生じたためなのか、あるいは旧社会から新社会に移行する間、一時的に見られるものなのか分からない。ただ、事実として、速度制限標識の中には、思わず首をかしげたくなるようなものが今も少なからず路上で使われていることを記録しておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「数とは何か」と問われた時、最も簡単で単純に説明しようとすれば「物の数を数えるもの」であろうか。例えば、日本で何かを数える時に、漢字五画の「正」の字を数字の「5」の代わりに使うことがある。同じように、ビルマ(ミャンマー)では、欧米式の 「タリーマーク」(Tally Marks)を見かけた。どちらも5つまで一塊で数えるところは同じだ。

 

 

 

 

 

 指を使った数の数え方は、日本とビルマ(ミャンマー)、そして欧米諸国でそれぞれ異なる。さらに、インドやロシアでも異なっている。各国の社会や時代の制約の中で、「数」をどのように位置付け、解釈していくのか。興味は尽きない。

 

 

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