ロシア軍の傭兵としてウクライナと戦うネパールの若者
外国「遠く離れた無意味な戦場」で血を流す理由

  • 2024/3/27

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2年以上が過ぎた。いまだ解決の糸口さえ見えない戦いの中で、多くの人々が命を落とし、家を失い、人生を破壊され続けている。

ネパール・カトマンズの事務所でAP通信のインタビューに応じるネパールのナラヤン・プラカシュ・サウド外相(2024年1月25日撮影)。ネパールはロシアに対し、ウクライナと戦うために徴用された数百人のネパール人の送還と、紛争で死亡した人々の遺体の送還を要請した (c) AP/アフロ

蘇る歴史 繰り返される古い物語

 ネパールの英字紙カトマンドゥポストは2月14日付で、「繰り返す古い物語」と題した社説を掲載した。

 ネパールには、200年以上にわたり、若者が外国の戦争に傭兵として参加してきた歴史がある。社説は、その理由をこう説明する。「若者たちが、同胞でもない人々のため、そして母国でもない国のために喜んで命を犠牲にしてきたのは、自国では生きる糧がほとんどなかったからだ」。2つの世界大戦から、フォークランド紛争、イラクとアフガニスタンの「対テロ戦争」に至るまで、「ネパール人は何世代にもわたり、自国とは遠く離れた無意味な戦場で血を流してきた」と、社説は述べる。

 そして社説によると、現在もネパール人の若者たちが、ロシア軍に参加してウクライナで戦っているという。「政府がわずかな報酬と引き換えに若者たちを戦地に送ったのではない。若者たち自身が、ウクライナの戦場へと向かっているのだ。200年以上も前にイギリス軍のために死んだ若者たちと、ロシア軍のために死ぬ若者たちに共通するものは、生計を立てるための必死さである」。

 社説によると、ネパール政府はロシア政府に対し、ネパールの若者たちを帰還させるようロビー活動をしているという。それに対するロシア、プーチン政権の返答は、ネパール人の帰還ではなく、「戦争で殺された若者たちの遺族への補償金」だった。その金額は、死亡したネパール人一人当たり約830万円~1700万円。しかし、これまでにウクライナとの戦いで命を落とした14人のネパール人への補償は、いまだ発表されていない。また、プーチン大統領は、傭兵として参戦したネパール人にロシアの市民権を与えることを表明したとも伝えられる。

 社説は、「ネパール政府は、危険な道へと踏み出さぬよう若者たちを説得すると同時に、ロシア側にはネパールの懸念をもっと尊重するよう訴え、圧力をかけるべきだ」と主張する。そして、「ネパールが他国の戦争に若者を送り込んできた長い歴史が、なぜいまだに終わらないのかを考えることも重要である」と指摘した。

Pexels / Pixabay

ウクライナの「終わらない苦しみ」

 シンガポールの英字紙ストレーツタイムズは2月27日付で「ウクライナの苦しみに終わりは見えない」と題した社説を掲載した。

 社説は、ゼレンスキー大統領が軍最高司令官を交代させたことに触れ、「新しく任命された総司令官が活躍できるかどうかは、ウクライナ国軍の武勇のみにかかっているのではない。米国をはじめとする外部の大国が、ウクライナの大義を助けるために何ができるか、にもかかっている」と記した。

 社説は、「この戦争は非常に残酷なものだ」と述べる。戦争初期にロシアの劣勢ぶりから、プーチン大統領が失脚すると予想していた人々は、「プーチン大統領が、想像よりはるかに強固な足場をもっていることに気付いた」としている。また、ハマスとイスラエルの武力衝突に世界の注目が集まる現在、「残念なことに、ウクライナに向けられるべき関心は後方に追いやられている」とも指摘する。

 シンガポール紙は、ロシアとウクライナの対立について、明確に「他国の主権を一方的に攻撃することはできない」との立場を示す。だが、そのための解決策には触れられてない。そこには、社説のタイトルの通り、「終わらない苦しみ」があるだけだ。

 

(原文)

シンガポール:

https://www.straitstimes.com/opinion/st-editorial/no-end-in-sight-for-ukraine-s-pain

ネパール:

https://kathmandupost.com/editorial/2024/02/14/old-story-new-twist

 

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