観光産業を軸に経済復興を目指すパキスタン
感染対策に配慮しつつ安定的な需要の掘り起こしを

  • 2020/9/12

 他の多くの国と同じように、パキスタンでも新型コロナウイルスの感染予防を踏まえた経済活動の再開が始まっている。パキスタンの英字紙ドーンは、特に観光業の今後について8月28日付の社説で採り上げている。

パキスタン北部の観光資源、カグハン渓谷 (c) Yahya Ehsan / Unsplash.

経済復興、観光を重視

 8月末現在、新型コロナウイルスの感染者が29万人に達し、依然として深刻な状況が続いているパキスタン。感染拡大のペースが一時期より緩やかになったとして、8月上旬、約5カ月ぶりに飲食店や映画館などが屋内の営業再開に踏み切っているが、感染者が出なくなったわけでも、新型コロナウイルス感染のワクチンや治療薬が開発されたわけでもないため、決して「コロナ以前の状況」に戻ったわけではない。中でも、経済面の打撃は深刻で、復興はパキスタン政府にとって急務の課題だ。

 社説によれば、イムラン・カーン首相は最優先課題の一つとして観光業セクターの復興を掲げ、国家観光協議委員会を設置するという。「委員会では国が掲げる観光ビジネス戦略を推進していく。具体的には、力強い観光産業を打ち立てることで、観光収入と雇用を確実に生み出し、長期的な経済効果につなげることが期待されている」と、社説は伝えているが、「活動資金はどうするのか」「現在の観光産業にそのポテンシャルがあるのか」といった疑問も投げかけられているという。

まずは国内需要から

 しかし、社説は「熱意は十分だ」と、強調する。その根拠として社説が指摘するのが、パキスタン国民の間で高まりつつある国内旅行への意欲だ。「新型コロナウイルスの影響で、海外からの旅行者は当面の間、見込めないが、その代わりに多くの国内旅行者が北部や北西部の有名な観光地を訪れており、混雑も見られるため、人気観光地を規制し、他の観光地をプロモーションすべきだとの指摘も出ている」

 その上で、今後、外国人も含めたより多くの観光客を安定的に誘致するためには、今回明らかになった問題点を改善し、大胆な観光政策を打ち立てることが必要だと指摘し、廃止されたパキスタン観光開発組合に代わる組織を創設すべきだと訴える。新型コロナウイルスの感染予防など、健康に関する課題も重要だ。

 感染対策については、「パキスタンは他国に比べて感染拡大が比較的抑えられている」と指摘した上で、マンセラ郡のホテルでスタッフの感染が確認され、閉鎖された事例を挙げる。後日、そのホテルが必要な消毒を実施して営業が再開されたものの、社説は「人気のある観光地ほど新型コロナウイルスの感染者が目立つ傾向にある」と指摘し、「観光客が感染予防策を真剣にとらえていないことが原因だ」との見方を示す。観光資源を提供する側も、それを楽しむ客の側も、いまだコロナ禍が続いているとの認識を忘れてはならない。

 「だれもがこの退屈な日常から抜け出したいと願っている」という社説の指摘は、皆が同意するところだろう。感染拡大が完全に抑制され、さまざまな制限が解かれた暁には、経済活動も、娯楽も、日々の暮らしも、感謝とともにその自由を謳歌したいものだ。

 

(原文: https://www.dawn.com/news/1576768/reopening-tourism)

 

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