コロナ禍、旅へのチャレンジを考える
スリランカの社説がワクチン接種や陰性証明のアプリを提案

  • 2021/3/17

 新型コロナのワクチン接種が世界で始まっている。スリランカの英字紙デイリーニュースは、2月23日の社説でワクチンと旅行の再開について採り上げた。

(c) Alexandr Podvalny / Pexels

切り離せない人間と旅

  社説は冒頭、ワクチン接種が進むイスラエルの状況について、「イスラエルでは多くの国民がワクチン接種を終えており、感染者数が減っている」と、ワクチン接種について前向きな評価を述べた。「これは歓迎すべき進展で、我々は、数年のうちにコロナを抑制できるかもしれない。しかし、楽観視してはいけない。少なくとも、2025年まではコロナ禍のニューノーマルを実践しなくてはならないだろう」

  社説は、コロナがもたらしたさまざまな負の影響の中で、最悪のものは旅行だと指摘する。「われわれは国内でも国外へも旅行ができなくなった。しかし、無理もない。旅行による人の移動は、ウイルス拡散にとって最も望ましい。国境を越える旅をすれば、必ずやウイルスは急拡大する。ニューヨークで感染した人が24時間以内にシンガポールの人を感染させることができてしまうのだ」

  「しかし、それでもわれわれは旅をしたい、新しい発見をしたいと願っている。それこそが、人間らしさというものだ。コロナ禍であっても、われわれは旅をしたいと思うだろう。問題は、どうすれば安全に移動できるかということが問題なのだ」

 その上で社説は、陰性証明やワクチン接種証明が重要だ、と指摘する。現在、スリランカをはじめ多くの国が、入国時に陰性証明の提出を義務付けている。紙の証明書を求めるケースが多いのは、署名やスタンプよりも偽造しにくくするためだ。

 しかし社説は、紙の証明書を時代遅れだと指摘する。

 「デジタルの時代に、なんという時代遅れの施策だろうか。紙の証明書の方が偽造が容易だという指摘もある。実際、フランスでは空港での偽の陰性証明書を販売する詐欺組織が摘発された」

まずはワクチンの公平な分配を

  ここで社説は、「最も信頼ができるのは、スマートフォンなどのアプリを利用することだ」という専門家たちの意見を紹介し、国際航空運送協会(IATA)の話として「陰性証明やワクチン接種証明のアプリが間もなく完成するだろう」と伝えている。

 このアプリを使えば、新型コロナの検査やワクチン接種が、保健当局またはそれに代わるものにより実施されたということが証明され、国際的な移動の再開の追い風になるのではないか、と期待されている。特に航空業界は、コロナ禍によって利用者が約7割減少したこともあって関心が高く、すでにいくつかの航空会社が実験的に導入しているという。

  しかし、問題点もある。社説は、「デジタル情報はクラウドに保存されるが、いつハッキングされるか分からないと心配する人は、自分の行動履歴や陰性証明、ワクチン接種といった情報をそこに保存されたくないと考える人がいてもおかしくない」と、指摘する。

 また、ワクチンそのものがすべての国に十分に行き渡っているわけではないため、各国が一斉にアプリを導入し、すべての国で画一的な入国条件を課せば、条件を満たせない人たちも出てくるだろう。さらに、ワクチン接種が始まっていない子どもたちも旅行ができないことになる。

  コロナ禍からの脱出は、一筋縄ではいかない。社説は、事態の複雑さを認めながら、一刻も早く、まずはすべての国に公平にワクチンを配ることが重要だと主張している。

 

 (原文: http://www.dailynews.lk/2021/02/24/editorial/242393/covid-travel-challenge)

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