スリランカの社説がワクチンへの理解を呼びかけ
「これまでの取り組みを無駄にしてはならない」

  • 2021/10/30

 各国で新型コロナワクチンの接種が進んでいる。一方で、接種を拒む人々もいる。スリランカでは、特に若い人たちの間でワクチンを拒否する傾向が強いという。10月8日付のスリランカの英字紙デイリースターは、社説でこの問題を採り上げた。

スリランカの社説が若者にワクチン接種を呼びかけている © Nataliya Vaitkevich / Pexels

誤報が招いたワクチン拒否

 スリランカでは、9月のピーク時に一日あたりの新規感染者が1万人を超えたが、その後、減少傾向に転じ、10月下旬には1日あたり1000人前後まで減少している。この背景として、社説は新型コロナワクチンの接種拡大が奏功している可能性が高いことを挙げた上で、「ワクチン接種を2回終えていても、感染リスクがある」と、指摘する。スリランカでは、10月上旬の時点で半数以上の人がワクチン接種を受け、あと3割程度が接種すれば、集団免疫が得られると言われている。
 しかし、社説は「集団免疫獲得を妨げているのが、ワクチン接種を拒否する若い人たちだ」と指摘する。「拒否する人々にもさまざまな理由がある。ワクチンを接種しても新型コロナに感染するケースがあることがその一つだ。また、専門家によれば、若い世代にワクチン接種をためらわせているのは、コロナ禍でさまざまな誤情報が広まったことも背景にあるという。十分なワクチンが国内にあるにもかかわらず、主にソーシャルメディアで流布される情報を信じた20代の若者たちがワクチンを拒否している」

学齢期の子どもたちへの接種も

 そのうえで社説は、「往来が自由になった時、ワクチンを接種しない若者たちがワクチンを接種した人たちを感染リスクにさらす可能性がある。若い世代は活動的で、オフィスや工場などで他者に感染させる危険性が高いからだ」と指摘する。
 「感染リスクが高い60歳以上の高齢者は、ワクチンを接種している者が多いうえ、現役を引退しているため、他者と接する機会はそれほど多くない。他方、若者たちがワクチン接種をしないまま、職場で同僚たちやお客さんと会うことを考えてみれば、どれだけ危険な状況か分かるだろう」「ワクチンを接種しないということは、家族や友達や同僚だけでなく、社会全体に深刻な問題をもたらすことになると専門家は指摘している」
 ワクチン接種を拒む人々は、宗教的な理由に加え、医学的には否定されているが、生殖機能に問題が起きることを懸念している者もいるという。社説は、「政府は、ワクチン接種をすませた多くの人々の安全が、ワクチンを拒否する少数の人々によって脅かされ、医療関係者らの努力が無駄にならないよう、あらゆる努力をすべきだ」と、強く主張する。
 「ワクチンを拒否する若者たちは、学齢期の子どもたちへのワクチン接種が間もなくほぼ義務化されることを考慮すべきだ。医学的な見地からもワクチンが危険ではないことが証明されている」
 公的な場所に入る際、ワクチンの接種証明を提示することを義務づける動きは他国でも見られる。スリランカでもそのような動きがあるものの、反対もあり議論は進んでいない。「これ以上、感染拡大を繰り返す余裕はわが国にはない。ロックダウンが長期化すれば、経済ももたない。厳しい状況であっても、必要な判断を下すべき時だ」と、社説は指摘している。

 

(原文http://www.dailynews.lk/2021/10/08/editorial/261348/let-not-all-efforts-be-vain)

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