いきいきと育まれるタイの高齢者ケア現場を訪れて
コミュニティに根差した介護の仕組みに学ぶ

  • 2022/6/29

フラットな「学びあい」から生まれるもの

 では、「対等な関係性」での学びあいとは、どういう場面で実現するのだろうか。
異なる背景をもつ個人や組織、地域の間で「学びあい」が起こり得るのは、双方の関係性が利害にとらわれず、平等な立場である時だと考える。もし、どちらかにより強い権力や発言力があれば、「学びあい」ではなく「指導」になり、一方の意見や考えがもう一方に押し付けられてしまう可能性があるからだ。この意味で、「学びあい」とは、フラットな関係性の上で起こり、関わる人や組織がそれぞれの軸を持ちながら、アイデアを交換できる場だと言える。

タイの高齢者クラブのダンスメンバーたち(筆者提供)

 今回のタイ滞在中、日本における「認知症カフェ」や、運動療法の一環として行われている「レッドコード」をタイの医療関係者に紹介するための、市民間の学びあいが行われた。最初は日本の知識や経験をタイに共有するという意味合いが強かったが、逆に、タイにおける高齢化対策を日本の医療福祉関係者や国際協力関係者、大学教授、学生などに伝えるオンラインイベントも開催され、様々な質問や意見が交わされた。
 国や地域を越えた「学びあい」の場合、特に、教えられる側と教える側、双方の経済圏や社会文化圏が異なると、何気ない自分の経験が相手にとって新鮮なものに映り、相手の学びに貢献できることで自己肯定感の高揚につながったり、「外の視点」から自分の活動の内部を見られるようになったりすることが期待される。「学びあい」を通じて受け取れる気付きや学びは非常に多い。

タイの高齢化社会に向けた取り組みを日本に紹介するために開かれたハイブリッド型セミナーの様子(筆者提供)

 フラットな関係性の「学びあい」から創造力が生まれたり、視点が変化したりすることで、国や地域を超えた共通課題に新たな形で向き合えるようになるのは、日本とタイにとどまらない。今後、他の国や地域でも、こうした「学びあい」の重要性はますます大きくなっていくだろう。

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